八重樫V1 判定完勝も「反省ばかり」
「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(12日、大田区総合体育館)
王者・八重樫東(30)=大橋=が挑戦者オスカル・ブランケット(28)=メキシコ=を3‐0の判定で下し、自身初の王座防衛となる初防衛に成功した。八重樫は足を使う出入りの速いボクシングで8回にダウンを奪うなど主導権を握り、ローブローでの減点をものともせず最大6ポイント差をつける完勝だった。
“原点回帰”の初防衛にも笑顔は少なかった。八重樫は「完璧にはほど遠い内容。反省ばかり」とポツリ。初防衛の喜びは表さなかった。
打ち合う試合が続き、“激闘王”と呼ばれるようになったが、今回は体格で上回る相手の強打を警戒。本来の出入りの速いスタイルに戻すことを公言し、下半身を強化した。軽快な足さばきで強打を見切り、8回に左アッパーをかわして左フックでダウンを奪ったが「もっと攻撃的にいきたかったが、予想以上にパンチが強くて怖かった」と振り返った。
それでも大橋秀行会長は「足がなければ倒されてた」と、足を勝因に上げ、フィジカルトレーナーの土居進氏も「フライ級で戦えるめどはついた」と前向きに話した。
調整は異例の“子連れ”。彩夫人が9月予定の第3子出産のため、1歳の長女・志のぶちゃんと実家の岩手へ帰省し、八重樫は残った小学2年生の長男・圭太郎君の“子守”をかねて一緒にジムワークを行った。
圭太郎君が会場で観戦する前で、父は「勝つ姿を目に焼き付けてほしい」と話していたことを実行。「生まれてくる子に王者でいる姿を見せられるのは良かった」と、しみじみと話した。
次戦は同級1位エドガル・ソーサとの指名試合が濃厚。ミニマム級出身の王者は、「危ない世界に足を踏み入れた。もっと精進しないといけない」と、今後の戦いに気持ちを引き締めた。