一翔3階級制覇へしょっぱい試合しない
「WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ」(11日、ボディメーカーコロシアム)
ボクシングのダブル世界戦の調印式と前日計量が10日、大阪市内で行われ、ライトフライ級王者の井岡一翔(井岡)はリミットの48・9キロで一発クリアした。試合に向けた練習時期が、真夏と重なったのはプロ転向後初めてだったが“塩パワー”で克服。年末にも実現する3階級制覇へはずみをつける一戦にする。挑戦者のクワンタイ・シスモーゼン(タイ)、WBA世界ミニマム級王座統一戦に臨む王者・宮崎亮(井岡)、暫定王者ヘスス・シルベストレ(メキシコ)も、それぞれ一発クリアした。
一翔の口から次々と発せられる強気の言葉が、調子の良さを物語っていた。「王者のイスは僕しか座るスペースがないので、負けてもらいます。あしたは今までで一番強い井岡一翔を見せられるんじゃないですかね」。苦しい夏を乗り切った自信が、王者を冗舌にした。
今年の夏は日本全国で記録的な猛暑となった。「体に負担があったし、暑さは尋常じゃなかった」。ジムの中は動かなくても汗が出るぐらいの熱気。ただ、汗をかくことは減量にとってはプラスだが、塩分も失われるというマイナス面もある。父の一法会長は「塩分を落としすぎたら体に悪い」と注意していた。
そこで、会長は“秘密兵器”を用意した。その名は「コスモバイルの塩」。世界遺産に指定されているオーストラリアのシャークベイで、2年かけて精錬される完全天然塩だ。一般的な食卓塩の5倍近い値段がする高級品とあって、その分ミネラルを多く含む。一翔と宮崎は塩をなめたり、梅干しを口にしたりして、疲れた体をいやした。
クワンタイ戦は、次のステップを見据えた戦いになる。会長は「年末か来年にも3階級制覇をしてほしい」と、わが子に期待を寄せた。一翔自身も「3階級制覇にゴーサインが出るような内容にしないといけない」と気合十分。日本列島を再び熱くする。