興毅、薄氷V8に「見つめ直したい」
「WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(19日、済州島)
興毅、薄氷の判定勝ち‐。ボクシングのWBA世界バンタム級タイトルマッチは19日、韓国・済州島の済州グランドホテル・コンベンションホールで行われ、王者の亀田興毅(27)=亀田=は挑戦者で同級14位の孫正五(32)=韓国=を2‐1の判定で下し、現役最多となる8度目の防衛に成功した。また、日本のジム所属の世界王者で海外防衛の成功は4人目となった。
敵地での防衛戦は、興毅にとって予想以上に厳しかった。「う~ん、敵地やから、(相手の)パンチが1発当たるだけで歓声が起こるし、日本とは違う。コンディションはよかったんやけど」と両まぶたを切った顔は敗者のようだった。
相手の孫はランク14位。昨年12月から試合をしておらず、無難と思われた挑戦者。だが、それは違った。地元の大歓声に押されて積極的に前へ出て手数を繰り出す伝統的なコリアン・ファイター。そのペースに飲み込まれて、興毅は苦戦した。
ロープを背にして連打をもらう場面が目立ち、8回は左目、9回には右目を切った。そして、10回には左フックを被弾して、7年ぶり2度目のダウンまで喫した。粘り強く攻めて判定勝ちを拾ったが、会場からは怒号のような大ブーイング。興毅も喜ぶことはなく、勝利者インタビューの声にも力がなかった。
亀田家のアジア進出をうたい、試合前日までは「強烈なインパクトを残す」と息巻いていたが、結果はほろ苦かった。興毅は「歓声は気にならんと言えばウソになるけど、相手に付き合って泥沼にはまった感じ。自分のボクシングは全くできんかった。今後は白紙。一からやり直して自分を見つめ直したい」とつぶやいた。次こそ“浪速乃闘拳”の真価が問われる。