大毅の相手ソリス ガブ飲みギブアップ
「ボクシング・トリプル世界戦」(3日、ボディメーカーコロシアム)
前日計量が2日、大阪市の商業施設「あべのキューズモール」で公開形式で行われた。
WBAとIBF世界スーパーフライ級の2団体世界王座統一戦(リミット52・1キロ)は、1回目にIBF王者・亀田大毅(亀田)が52・1キロでパスしたが、WBA王者リボリオ・ソリス(ベネズエラ)は1・4キロ超、2回目も1・1キロ超で失敗すると、水を飲んでギブアップを宣言。WBAはソリスの王座を剥奪した。WBO世界王座戦(同53・5キロ)は王者・亀田和毅、挑戦者イマヌエル・ナイジャラともに53・5キロ、IBF世界王座戦(同47・6キロ)は王者・高山勝成が47・5キロ、挑戦者ベリギリオ・シルバーノは46・4キロで、すべて1回目でパスした。
前代未聞のギブアップだ。計量に失格したソリスは日本ボクシングコミッション(JBC)職員の制止を振り切って暴挙に出た。「我慢できない。円でもペソでも(罰金を)払ってやる」と絶叫し、ペットボトルの水を飲んだ。続けて体重計のそばにあった自動販売機で、水やコーラなどを次々と買い込み、合わせて3リットル以上の水分を飲み干した。
その後は紛糾した。ソリスはマネジャーから「もう金がない。ファイトマネーは払えないぞ」などと見放されて陣営の内部分裂が発生。さらに、ソリスと亀田の両陣営が、日本語とスペイン語が入り乱れる口論を戦わせ、会場は大混乱に陥った。
ソリスは「日本は寒くて、減量がうまくいかなかった。明日、リングに上がる許可を与えてくれるのなら戦う」と言い訳すると、人けのないところに身を隠して号泣した。また、ソリスのマネジャーは「(亀田陣営は)マフィアだ」と負け惜しみを吐き捨てた。
WBA、IBF、JBCと両陣営が協議の結果、試合は王座統一戦扱いのままで合意。ソリスは王座剥奪。大毅が勝てば王座統一、負ければ両王座は空位。引き分けなら、大毅はIBF王座を保持し、WBAは空位となる。また、IBFルールの当日計量は大毅だけ行うことを確認した。
罰金についてWBAの立会人は「何らかの形で払うルールがある。両陣営が話し合って決めて欲しい」と説明した。名レフェリーだった森田健JBC事務局長が「110試合以上の世界戦に関わったが、計量を放棄して水を飲んだ選手は初めて見た」とあきれる珍事。ソリスはどう戦うのか。本当にリングに上がるのか。