長谷川引退覚悟!3階級制覇に挑戦
「IBF世界Sバンタム級タイトルマッチ」(4月23日、大阪城ホール)
ボクシングのWBC世界バンタム級王者・山中慎介(31)=帝拳=と、元世界2階級王者でIBF世界スーパーバンタム級13位・長谷川穂積(33)=真正=のダブル世界戦を4月23日に大阪城ホールで行うことが11日、都内で発表された。山中は同級3位シュテファーヌ・ジャモエ(24)=ベルギー=と6度目の防衛戦。長谷川は日本人2人目の世界3階級制覇をかけて同級王者キコ・マルティネス(27)=スペイン=に挑戦する。
退路はすでに断っていた。ダブル世界戦会見の壇上で、長谷川は迷わず言い切った。「どんな結果でも受け入れる覚悟。集大成の最高の試合をする」
待ちに待った3年ぶりの世界戦は、3階級制覇への挑戦。元2階級王者は悲壮感漂う言葉を並べた。「勝つことが大事だけど、最高の状態をつくって負けてもボクシングが好きで終われる。絶対に勝つとは言い切れない。勝つ努力、すべてをやり切ってリングに上がる。万が一、結果が出なくても仕方がない」。33歳、負ければ即引退と腹をくくった。
25歳でWBC世界バンタム級王座を獲得し10度防衛。10年11月26日にWBC世界フェザー級王座を制し、亡き最愛の母・裕美子さんに2階級制覇を捧げた。11年4月8日に同級王座を陥落。「抜け殻でやっていた。空っぽ」と燃え尽きた。
現役続行を決めたのは「ボクシングを嫌いで終わりたくない」との思い。だが昨年、世界戦の話が浮上しては何度も流れた。気持ちの持続は限界で「頑張れるのは、この春まで」と自ら設定。「長かった」と期限ぎりぎりで世界戦は決定した。
王者のマルティネスは34戦30勝(22KO)4敗の好戦的な右ファイター。「勝つ確率は50%」と強さを認める。自慢の守備技術が勝敗のカギになるが「殴られれば自分もおとなしくしているタイプじゃない」と真っ向勝負も辞さない構えだ。
17日からは鹿児島・沖永良部島で1週間の走り込み合宿を行い、心身ともいじめ抜く予定。「勝てば新しい世界が見えてくる。勝った後の目標も考えている」。穂積伝説の最終章。必ずもうひと花咲かせてみせる。