完全燃焼の健介、今後は「スノボ挑戦」
ダイヤモンドリングの佐々木健介(47)が13日、都内のホテルで会見し、現役引退を正式発表した。引退試合は行わず、引退の意思を表明した11日・後楽園ホールでの中嶋勝彦(25)戦がラストマッチとなった。
黒いスーツ姿の佐々木は「2月11日の試合後に言った言葉がすべてです。長きにわたり、ありがとうございました」とあいさつし、深々と一礼。理由を聞かれると、「勝彦との試合で負けたとき(弟子の成長を感じて)うれしかった。今まで負けたときは悔しかったのに。その言葉が頭をよぎったとき、佐々木健介というプロレスラーは終わったなと思った」と振り返った。佐々木は中嶋戦後、リング上で「もう思い残すことは何もない」と発言していた。
頸椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアを手術し、12年10月から翌年2月まで欠場。復帰後は爆弾を抱えながら戦ってきたが、最近は近年になく体調が良かったという。体重もベストの115キロだった。それだけ電撃的な決断だった。中嶋戦で「納得した」からこそ、引退試合は行わない。「引退興行をやって納得できなかったら嫌」とプロレスにすべてを捧げた男らしく話した。
かつて海外遠征から帰国した際、「太く短く生きます」とあいさつしたことを心に秘めてきた。タッグパートナーでもあった馳浩現衆議院議員、闘魂三銃士の武藤敬司、蝶野正洋、故橋本真也さんらライバルへの負けじ魂ではい上がり、28年間のレスラー生活は充実したものになった。佐々木は思い出の試合として最後の中嶋戦、05年7月のノア・東京ドームでの小橋建太戦を挙げた。
今後について聞かれ、「やったことないことに挑戦したい。スノボをやりたい。五輪で十代の子が銀メダル、銅メダル獲ってるのを見たらうれしくて。楽しんでるのを見たら自分もやりたくなった」と明かすと笑いが起こった。“鬼嫁”こと北斗晶夫人との二人三脚で好調の芸能活動は続行するとみられる。3月には明治座でタレント・萩本欽一(72)と共演する舞台出演が決まっている。
「後悔はまったくない。自分のプロレス人生は良かったと思う」。涙のない、晴れやかな会見だったが、長男・健之介君から言われた言葉を思い出すと目が潤んだ。「パパかっこよかったよ。まだまだ頑丈で動けるのにやめるなんてかっこいいよって。それが一番泣きそうだった」。
福岡県出身の佐々木は85年にジャパンプロレスに入門し、86年2月に全日本の笹崎伸司戦でデビュー。87年に新日本に移籍後、頭角を現した。過去に主要3団体の看板王座であるIWGPヘビー(新日本)、3冠ヘビー(全日本)、GHCヘビー(ノア)などを獲得した。