井上尚 山中色の黒グローブ怪物だ
「WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ」(6日、大田区総合体育館)
ダブル世界戦の調印式とルールミーティングが4日、都内のホテルで行われた。ライトフライ級で日本選手最速となるプロ6戦目での世界王座を狙う井上尚弥(20)=大橋=は、所属ジムの大橋秀行会長の勧めで、プロ入り後初めて黒いグローブを使用。WBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳)ら名王者が使用する色で、「4月6日は必ずチャンピオンになって歴史的な日にしたい」と、記録達成に意欲を示した。
“怪物”が“黒い拳”で歴史に名を残す。井上は初体験の世界戦調印式の場で、黒いグローブを入念にチェックした。過去5戦で使用したのは青と赤だけで、黒は今回が初めて。「大橋会長にグローブの色を聞かれて『白はどうですか』と答えたら、『黒がいいんじゃない』と言われたので」と理由を話した。
大橋会長は「とっさのひらめきで決めた」と話したものの、「白は膨張色だからね。黒の方が痛そうに見えるでしょ」と説明。さらに「具志堅さんや山中選手も黒を使っている。黒は感じがいい」とも付け加えた。
世界王座13度防衛の日本記録を持つ元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏は当時の日本最速記録の9戦目で世界奪取した試合などで黒のグローブを使用。現役でも、4連続KO防衛中のWBC世界バンタム級王者・山中慎介が世界戦では黒を使い続けている。“レジェンド”や“神の左”と同じ色は、記録を狙う井上にふさわしいと言えそうだ。
だが、勝負を決めるのは自身の実力。井上は「記録は力になる。相手が王者なので燃えてくる」と話し、「今までの相手にはレベルの差を感じましたが、今回はない。同レベルか、やられるイメージもある。その分、ワクワクする」と、重圧を楽しむかのような余裕を見せた。
「今回が一番きつかった」と話す減量もリミットに到達するなど調整は順調。心技体、そして道具と、すべてが整った“怪物”の戴冠はもうすぐだ。