八重樫V3 次は強敵“ロマゴン”

 「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(6日、大田区総合体育館)

 王者の八重樫東(31)=大橋=が、挑戦者で同級8位のオディロン・サレタ(28)=メキシコ=を9回2分14秒KOで下し、3度目の防衛に成功した。次戦は対戦を熱望していたローマン・ゴンサレス(26)=ニカラグア=とのV4戦が確実になった。

 いつものように顔を腫らしながら、それでも前に出続けた王者・八重樫が、最後は意地を見せつけた。

 9回2分過ぎに打ち合いから右のカウンター一閃(いっせん)。「体が重かった」と万全ではなかった中で、サレタを沈め、フライ級転向以降初のKOで3度目の防衛を果たした。

 「たまたま当たっただけ」と苦笑いしながら振り返ったが、この勝利でビッグマッチを手繰り寄せた。

 試合後はV4戦の相手に“指名”していた元世界2階級王者の“ロマゴン”がリングイン。対戦をアピールしてきた。39戦全勝33KOという圧倒的な強さのあまり、誰もが対戦を敬遠してきた軽量級最強。この日もノンタイトル8回戦で3回TKO勝ち。強烈な左ボディーで圧倒し「あのボディーは八重樫を想定して打った。八重樫をKOして勝つのが私の夢。グレートな試合になる」と、宣戦布告してきた。

 リング上では「あの~、こんな僕ですけど、(ゴンサレスと)やってもいいですか?」と観客に問いかけ、大喝采を浴びた。八重樫自身、危険な相手であることは百も承知。それでも「今の状態では勝つのは困難。でも、必ずとは言いません。一生懸命戦って、なるべく勝てるように頑張ります。この激戦区のフライ級で僕が勝ち残っているのは奇跡。ただ、努力は必ず実を結ぶことを体現したい」と、力強く叫んだ。

 「きょう見た人は(ロマゴン戦で)『八重樫、終わったな』と思うかもしれない。でも、そうならないのがボクシングの面白いところ」。勝算はある‐。不屈の31歳王者は堂々と最強挑戦者を迎え撃つ。

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