故津田会長のノンフィクション発売
大阪の名門・グリーンツダジムを興し、世界王者2人を育て上げた故津田博明会長の人生を追ったボクシングファン注目のノンフィクション「浪速のロッキーを<捨てた>男 稀代のプロモーター・津田博明の人生」(浅沢英著、角川書店、税別1700円)が25日に発売になった。
大阪・西成の地でボクシングの世界に足を踏み入れ、“浪速のロッキー”赤井英和との出会いに始まり、裸一貫から一代で西日本屈指のジムを築き上げた津田会長。後に井岡弘樹、山口圭司という2人の世界王者を輩出し、“浪速の闘拳”亀田興毅をデビューさせて売り出したプロモーターとしても有名だが、本書はすべての出発点となった赤井との歩みに焦点を注ぐ。
プロデビューからの連続KO勝利とともに関西で巻き起こった赤井への熱狂と新興ジムの隆盛。チケットは飛ぶように売れ、世界王座奪取への期待が過熱する中で、その裏側に隠されていたものとは。2007年2月に他界した津田会長への生前のインタビュー、当時を知る関係者への綿密な取材から描き出す。
著者は長年、関西のボクシング界の取材を続けてきた浅沢英氏。「ファイトマネーをめぐる確執は表層の事実に過ぎない。すれ違う人間模様を通して人生の奥深さを描きたかった」と18年を費やした渾身の作品について語っている。