京太郎、日本ヘビー級の灯守った!
「デイリー後援・ボクシング8回戦」(4月30日、後楽園ホール)
日本ヘビー級王者の藤本京太郎(27)=角海老宝石=と元WBAスーパーウエルター級暫定王者の石田順裕(38)=グリーンツダ=がノンタイトルのヘビー級8回戦で対戦し、藤本が3‐0で判定勝ちした。日本ランキングではミドル級(72・5キロ以下)の石田が4階級上のヘビー級への転級を希望して実施が決まった異例の一戦。藤本が最大2ポイント差の判定で振り切った。
ヘビー級王者の意地を見せた。男の夢とロマンをかけ、4階級差を超えてきた石田の“挑戦”を受けて立った京太郎。判定勝ちが告げられると、重荷から解放されたかのような表情を浮かべた。
元WBA世界スーパーウエルター級王者で、米ラスベガス進出も果たすなど、36戦のキャリアを持つ石田戦。京太郎は前日計量では平静を装っていたものの、本心では「怖くて眠れなかった」と警戒していた。「ビデオを見たらすごいんですよ、技が。世界王者とロシアで12ラウンド戦ったり…」と評価していた。
見立て通り、相手の老かいさに苦戦。持ち味のスピードは石田が上をいき、巧みなフェイントを入れて放つ左ジャブ、タイミングのいいカウンターなどで主導権を握られた。だが、後半石田がやや失速。粘り強く手数を出し続けた京太郎がペースを奪い返した。ジャッジは1人が1点差、2人が2点差という小差で振り切った。
当初はタイトルマッチで計画された一戦。一時は暗礁に乗り上げたが、両陣営の執念とも言える熱意により、ノンタイトル8回戦での実現にこぎ着けた。京太郎が敗れれば王座を失うルールが設けられた。
想定外とも言える強敵から王座を“防衛”し、「また大きな壁を乗り越えたと思う」と充実感をにじませた。今後について「ボクとしては返上して次にいきたいが…」と話したが、萩森健一マネジャーは「ファンが喜ぶ試合を」と話すにとどまった。今後も日本のヘビー級を背負って立つ男から目が離せない。