八重樫、壮絶に散った…9回TKO陥落
「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(5日、代々木第二体育館)
王者・八重樫東(31)=大橋=が壮絶に散った。プロアマ通じ無敗の怪物、ローマン・ゴンサレス(27)=ニカラグア=の前に9回2分24秒TKO負け。4度目の防衛はならなかった。ゴンサレスは母国の英雄・アルゲリョに肩を並べる悲願の3階級制覇を達成。プロアマを通じ127戦無敗、プロ成績を40勝(34KO)に伸ばした。
控室に引き揚げ、椅子に座った八重樫は、生まれて間もない次女を胸に抱いてしばらくの間泣いた。「子供の顔を見たら涙が出て…悔しかったんでしょうね」とつぶやいた。
壮絶に散った。ゴンサレスに一歩も引くことなく打ち合った。3回には左フックでダウンを奪われ、その後もガードを割られてパンチを浴び、8回には足がよろけていた。
それでも打ち返した。左ボディーでロマゴンの顔をゆがませ、ラッシュもかけた。2回から右目が腫れ上がったが、まったくひるまなかった。
8回以降はガードもせず拳を振るった。「打ち返さないといけないと思っていた」と、精神力で立ち向かった。オープンスコアが0‐3と不利なまま迎えた9回、連打で自軍コーナーに詰められて2度目のダウン。レフェリーが試合を止めた。「もうちょっと行けると思った」と振り返った。
大橋会長は「最近、強い挑戦者から逃げてベルトを守る風潮があるが、いかがなものか。八重樫も同じ考え」と、この防衛戦を決め、準備してきた。
八重樫は「ハードパンチャーだけど、技術が超一流。ワンツーの後、3つ目が来て下がらされてしまう。勉強になりました」と、新王者をたたえた。
「いい試合だった。これボクシングです」と大橋会長は愛弟子を称賛。今後について「スーパーフライかライトか…3階級(制覇)の選択肢もある」と見据えていた。