山中KO宣言 グローブ陽動にも動じず
「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(22日、代々木第二体育館)
調印式と会見、ルールミーティングが20日、都内のホテルで行われた。グローブチェックでは、挑戦者のスリヤン・ソールンビサイ(25)=タイ=のサイドが同色のグローブの使用を要求。一種の揺さぶりとも見える動きだったが、王者・山中慎介(32)=帝拳=は全く動じなかった。
順調に進行していたセレモニーが、グローブチェックに入って怪しい雲行きとなった。2種類用意された黒色のグローブから、速やかに一方を選んだ山中とは対照的に、青色のグローブを前に挑戦者サイドは10分以上に及ぶアピールを展開した。
プロモーターのスチャート・シットウテナン氏(64)は「双方公平な条件で試合をしたい。同じ黒色のグローブを要求したが、かなわなかった」と説明。色違いの使用は契約書に明記されており、要求は撤回。しかし、今度は山中のグローブを入念にチェックするなど、心理的揺さぶりとも見える動きに出た。
この様子を黙って見ていた山中は、「ああいうことをすると、いい結果は出ない。自分が青で、向こうが黒でいいから早く終わってくれと思っていた」と、笑い飛ばした。
思い出されるのは12年4月、ビック・ダルチニアン(豪)との初防衛戦だ。青のグローブに決まっていたダルチニアン側が「黒の方が小さい」と、クレームを付けた結果、両者が黒色を付けて闘った。
異なる色を着用するのは、見る者に分かりやすくするため。それ以外の理由はなく、現在ではクレームなどで時間を取られないよう、契約条項に盛り込まれることが多い。
グローブ騒動は「しっかりKOで勝ちたい」という山中の闘志の炎に油を注ぐだけかもしれない。