挑戦者プエルタ、人生刻む全身タトゥー
「WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ」(22日、横浜国際プール)
WBC世界スーパーフェザー級王者、三浦隆司(帝拳)に挑戦する指名挑戦者で同級1位のエドガル・プエルタ(メキシコ)が17日、東京・神楽坂の帝拳ジムで練習を公開した。
メキシコで120ラウンドのスパーリングをこなすなど、みっちりと仕上げてきたため、この日はサンドバッグやミット打ち、シャドーなどで軽く汗を流した程度だった。
プエルタは23勝(19KO)4敗1分と強打を誇る32歳。29戦目の世界初挑戦だが「ベルトは私の夢。そのために戦い続けてきた。何事においても遅すぎることはない」と、満を持しての挑戦だ。
初来日のプエルタを支えるのが、チャベス・シニア、マヌエル・メディナ、アントニオ・デマルコら多くの世界王者を育てた名伯楽ロムロ・キラルテの2人の息子、ロムロJr.とロベルトだ。
ロムロJr.は「父とはずっと一緒にトレーニングしてきた。今回、来日できなかったが、常に連絡は取り合っているから大丈夫」と言う。過去4人のメキシコ人を倒している“メキシカンキラー”の三浦については「(敗者は)作戦が適切でなかったと思う。コンディションも考えないといけない」と、攻略に自信を見せた。
練習を終えたプエルタは、ウエアを脱いで見事なタトゥーを披露した。そこには彼の人生が刻み込まれていた。左胸に母親の名、右には5歳で亡くした長女の顔、腹部には生まれ故郷メキシコの町「シナロア」の文字があった。背中には登り龍、後頭部には「生か死か」と刻まれている。
「子供の頃両親とアメリカに渡り、16歳で結婚した。アリゾナ州フェニックスの南、柄の悪い町で暮らし、若い頃は悪いことばかりしていた。ケンカに勝たないと生きていけないような暴力的な町だった」と振り返る。
16歳でアマチュアボクシングを始めた。結婚してすぐに生まれた長女を交通事故で亡くし、一度はボクシングをやめた。生活が荒れていく中、再びボクシングを始め、24歳でプロボクサーになった。
今は妻と一男一女とともにメキシコで暮らし「ボクシングが正しい道に戻してくれた」と感謝する。初めて手にしたビッグチャンスを、波乱万丈の前半生の集大成と位置づけている。