因縁の対決は加藤が荒川に判定勝ち
「ボクシング10回戦」(6日、後楽園ホール)
ボクシングの62キロ契約10回戦が6日、東京・後楽園ホールで行われ、日本ライト級王者の加藤善孝(角海老宝石)がWBC世界同級12位で日本同級2位の荒川仁人(八王子中屋)を3-0の判定(97-94×2、96-95)で下した。
因縁の対戦はこれが8年ぶり3度目。05年の初対戦、東日本新人王ライト級決勝戦(6回戦)は荒川が2-1の判定勝ち。06年9月の2戦目(8回戦)は加藤が2-0の判定勝ちで雪辱した。2人は8年を経て決着をつける機会を得た。
ともに同じライト級を動かずキャリアを伸ばしてきた。先に荒川が日本王座、東洋太平洋王座を獲得。WBC世界ライト級暫定王座決定戦に出場するなど海外でも実績を積んだ。
加藤も11年10月に日本ライト級王座に戴冠し、約3年間で7度の防衛に成功。世界を狙う加藤にとって、荒川は決着をつけなければならない相手だった。
日本王者の加藤が、無冠とはいえ世界ランカーの荒川を立ててノンタイトル戦とし、青コーナーに立った。「荒川選手の方が上位だと思ってますから」と、半ば挑戦者の気持ちで臨んだ試合でもあった。
「どちらが世界に近いかハッキリさせる」(荒川)と、互いに意識し合う一戦は、文字通りの名勝負だった。1回から一歩も引かぬ打ち合いは、テクニックのぶつかり合いでもあり見応え十分。荒川の左ボディーと加藤の右ストレートが相打ちで火花を散らした。
しかし、有効打で加藤が勝った。加藤は「倒したかった。右がもう半歩足りなかった。打ち終わりを警戒し過ぎて大きく避けすぎた」と振り返った。
一方の荒川は、右目の上を偶然のバッティングでカットするアクシデントもあったが「悔しい。負けたとは思わなかった」と話した。しかし、その顔はすがすがしくもあった。加藤の控室に足を運ぶと「やあ、よかったよ」と声を掛け、握手で健闘をたたえ合った。
後楽園ホールは観衆1910人の超満員で、関係者には大入り袋も配られた。だれもを満足させた一戦。日本のボクシング界の底力を見せつけた名勝負だった。