尚弥、世界戦28勝王者撃破で伝説に!
「WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(30日、東京体育館)
日本ボクシング史上最速の2階級制覇に挑む前WBCライトフライ級王者の井上尚弥(21)=大橋=が19日、横浜市内の大橋ジムで練習を公開した。王者のオマール・ナルバエス(39)=アルゼンチン=は世界戦28勝1敗の実力者であり、プロ初のサウスポーとの対戦でもある。キャリア最大の試練といえる一戦を、尚弥伝説の幕開けにする覚悟だ。
顔色が違う。笑顔が輝いている。「ベスト」というスーパーフライに2階級上げた尚弥は、決戦に向け最高のコンディションと戦略を仕上げつつあった。
この日までに180ラウンドのスパーリングをこなした。通常は120ラウンド程度だが、相手の実力とプロ初のサウスポー戦をにらめば、自然と5割増の練習量になった。相手も日本同級1位のマルコム・ツニャカオ(真正)や東洋太平洋王者の岩佐亮祐(セレス)ら実力派サウスポーと次々手を合わせた。
かつてないハードトレにも尚弥は「スーパーフライに上げて、この時期でも追い込める。いい練習ができている」と涼しい顔。減量に苦しみ抜いたライトフライ級時代の悲壮感はない。あと5キロ弱の減量も問題ではない。
だが、相手は12年間世界王者に君臨する「キング・オブ・キング」だ。その技巧の前に28人の挑戦者が沈んだ。唯一の敗戦は、自身が挑戦者となった11年のノニト・ドネア(フィリピン)戦だけ。
「ビデオはたくさん見た。ディフェンスが徹底していてガードが高いから、ボディーがカギになると思う」と、攻略法の一端を明かした。
当面はスーパーフライ級を戦場にするつもりだ。戴冠の先には統一戦、海外進出の夢も広がる。だから絶対に負けられない。尚弥は「今回は試合がつまらなくなっても勝ちに徹する。必ずチャンピオンになる。伝説の始まりにしたい」と言った。伝説の王者を倒し、自ら新たな伝説になろうとしている。