井上尚「気分で選んだ」黒グローブ対決

 「WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(30日、東京体育館) 

 WBO、WBCトリプル世界戦の調印式と会見、ルールミーティングが28日、都内のホテルで行われた。8戦目での2階級制覇に挑む井上尚弥(21)=大橋ジム=はグローブチェックで、王者のオマール・ナルバエス(39)=アルゼンチン=から注文を付けられたが、表情一つ変えなかった。

 井上尚が黒いグローブをチェックする横で、ナルバエスは目の前の赤いグローブに手を付けなかった。役員に、同じ黒色のグローブを持ってくるよう命じた。慌ただしく確認作業が行われ、予備の黒グローブが運ばれた。

 ナルバエスは「同じ条件で戦うのがベストだと思う。黒は見づらいが、赤は見やすい。私はチャンピオンとして意見を言ったつもりだ」と説明。世界戦28勝のベテランらしい揺さぶりにも見えた。

 同じ黒のグローブで闘うことになった井上尚は動じなかった。「何か言ってくるかもと思っていた。黒は気分で選んだだけ。見やすいも見にくいもない」と淡々と応じた。そして、39歳の王者に対して「そろそろ世代交代の時だと思うので、必ず自分がチャンピオンになります」と逆に挑発で応じた。

 東京体育館は93年に大橋会長が王座陥落し、引退を決めた因縁の会場。大橋会長は「ジンクスを破ってほしい。ベテランは若手にやられるもの。千代の富士も貴乃花に負けたでしょう」と勝利を確信していた。

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