夏男争い異変…オカダ棚橋AJの3強
「新日本・G1クライマックス」(20日~8月16日、両国国技館ほか)
1991年にスタートした新日本の「G1クライマックス」が、20日の北海道立総合体育センターの開幕戦で25回目のゴングを鳴らした。真夏の祭典は史上最多19大会(最長28日間)のロング日程で、ファイナル舞台も両国国技館に戻って11年ぶり3連戦(8月14~16日)が組まれた。20選手の優勝争いはIWGP王者オカダ・カズチカを中心に前回準優勝の中邑真輔と棚橋弘至、AJスタイルズの昨年4強による再決着戦の様相が濃かったが、中邑が左肘を痛めて混迷。今年は両国国技館も開館から30周年。優勝決定戦はG1では70回目の聖地開催で、国技館30年と祭典4半世紀の歴史を祝う“夏男”が誕生する。
祭典も序盤の5大会を終えたが、中邑が左肘負傷のため26日の広島大会を欠場したことでVレースは緊迫してきた。両国3連戦初日はAブロックが棚橋-AJスタイルズ、2日目のBブロックはオカダ-中邑の公式戦が組まれたが、中邑が持ちこたえられるかどうかも微妙だ。
昨年の8・10西武ドームでは、オカダが中邑から5度目の正直で初勝利を挙げて優勝。棚橋はブロック2位同士のAJを退けて事実上の3位決定戦を制した。今年はこの4横綱の仕切り直しと思われたが、中邑が早々と脱落ピンチに陥った。
オカダは新日本が21年ぶり再進出した7・5大阪城ホールでAJを撃破し、1年2カ月ぶりIWGPベルトを奪回した。王者として臨むG1は、初戦でM・エルガンを突破して2連覇へ爆走。優勝戦の相手に棚橋を指名し、1・4東京ドームのIWGP戦で敗れたリベンジへ決起する。
2連覇で3度目優勝を果たせば蝶野正洋、天山広吉に次いで3人目。王者として優勝すれば武藤敬司、佐々木健介以来15年ぶりの偉業だ。全勝優勝なら長州力、天山以来9年ぶりで、最年少&初出場V(12年)の記録に新たな勲章が加わる。
一方の中邑は大阪城で後藤洋央紀とのリターンマッチで敗退。祭典でも黒星スタートとなったばかりか悪夢の負傷。回復を待って再出場の予定だが、本来の力を出し切るのは困難だろう。
棚橋は昨年10・13国技館でAJからIWGP王座を奪ったが、今年の2・11大阪大会でリベンジを許して転落。G1での復活へ開幕戦では飯伏幸太との初一騎打ちを制したが、26日の広島大会では内藤哲也に不覚を喫した。3勝2敗で迎えるAJ戦が8年ぶり栄冠のカギになる。8・8横浜大会の柴田勝頼戦では天山広吉、永田裕志に次いで公式戦100試合出場も達成する。
史上初の外国人制覇を目指すAJは、初対決の柴田を退けて白星離陸。26日の広島大会では飯伏に敗退したが、野望へ全力投球だ。S・ノートン、B・ベイダー、C・B・ビガロが出場した第1回大会から外国人選手は初来日のエルガンを含めて31人。R・ルード(92年)、アンダーソン(12年)が準優勝に輝いているが、優勝はお預けのままだ。
Bブロックは中邑の負傷でIC王者の後藤洋央紀が、オカダの対抗馬として急浮上。新日本帰還3周年を迎える柴田との“同級生頂上対決”を夢見る。飯伏も3月のニュージャパンカップで初優勝。初戦こそ棚橋に敗れたが、AJ撃破で春夏連覇を目指す。