井岡一翔“具志堅魂”継承を誓った
ボクシング史上最速の世界3階級制覇王者でWBA世界フライ級王者の井岡一翔(26)=井岡=が7日、初の石垣島キャンプを公開した。午後には「具志堅用高記念館」を訪れ、同島出身で世界王座を国内最多13度防衛した偉大な先輩の足跡を目に焼き付けた。カンムリワシ伝説に敬意を払い、自身は12度の防衛を目指すことを誓った。南国で9日まで計60キロを走り込み、5月にも予定する3度目防衛戦に向け下半身を強化する。
館内にズラリと並べられたトロフィー、賞状、盾、年代物のベルト。一翔は1~13度防衛の歴史をたどった。具志堅氏が80年に記録を作って以来、36年。「13度が、まだ破られていないすごさを感じる」と心を震わせた。
一翔も同じWBA世界ライトフライ級王座を獲得し3度防衛。「現役なら一翔と対戦したい」と言われたこともある。東京を訪れると同氏のジムで練習するなど交流してきた。
現在、WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(ワタナベ)が11度で記録に迫る。一翔は「さみしい思いがある。記録は具志堅さんであり続けて欲しい」と複雑な思い。「僕は12度を達成したい」と、偉大な先輩の故郷で誓った。
『一生拳命走れ』-。記念館にあった同氏の言葉に、ボクサーにとって足腰が命であることをあらためて教えられた。
この日、朝、夕計20キロを走ったビーチは同氏が高校まで足腰を鍛え抜いた場所。「砂が粗くきつかった…」と、V13を果たした土台の理由が分かった。
幼少期より父・一法会長と同氏の映像を見てきた。ダウンした相手を殴る“猛禽(もうきん)類”のような闘争心は「僕にはないもの」と言う。「でも、これからはあのファイティングスピリットを見習う。たたみかける姿勢と気持ち」と目をぎらつかせた。「具志堅さんのように、いつか僕も見習ってもらえるボクサーになる。(一翔記念館が)できるように」。統一戦を視野に入れる今年、一翔に“カンムリワシ魂”が注入された。