猪木氏、アリ氏追悼「元気があれば…」

 ボクシング元世界ヘビー級王者のモハメド・アリ氏が死去したことを受け、元プロレスラーで参院議員のアントニオ猪木氏(73)が4日、都内で会見を行った。76年6月26日に「格闘技世界一決定戦」でアリ氏と対戦した猪木氏は「元気があれば旅立ちもできる」と独特の表現で追悼し、アリ氏から「あんなに怖い試合はなかったよ」と言われたことなど思い出を語った。

 燃える闘魂もこの日は寂しげだった。折しも、今年はアリ氏との一戦から40年で、6月26日が「世界格闘技の日」に制定されたばかり。いつもの赤いマフラーを黒に変えて現れた猪木氏は、「今日のあいさつはどう言おうかなと…。元気ですか!!というこの言葉も…。でも元気があれば旅立ちもできると言うことで、モハメド・アリ氏のご冥福をお祈りしたいと思います」と哀悼の意を示した。

 アリ氏との一戦は、猪木氏が寝た状態でアリ氏を蹴り続ける展開に終始して引き分け。「世紀の凡戦」などと酷評されたが、後に猪木氏が多くのプロレス技を禁じられたルールで戦ったことが明らかになると評価は一変し、名勝負とたたえられるようになった。そして猪木氏が「戦った後に友情が芽生えて、付き合いがあったのはボクシングの選手より私の方が深かったかな」と話すほど、アリ氏と親交を深めた。

 「冗談が好きで、ちゃめっ気がある」というアリ氏の人柄。「彼の結婚式に招待されると、ホテルで隠れていて後ろから飛びかかって首を絞められた。『お互いあれで良かったよな』と言ってきたので『オレもそう思うよ』って。その時にお互いを認め合って、『あんな怖い試合はなかったよ』と言ってくれた」との思い出を披露した。

 猪木氏は後に政界に進出。「外交をやっていますが、アリとやったという説明があると、相手が姿勢を直す。アリとの戦いのおかげで人と違った政治、外交ができる」と、アリ氏の存在の大きさに感謝した。

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