比嘉がKO勝ち 無敗で東洋王座獲得
「東洋太平洋フライ級タイトルマッチ12回戦」(2日、後楽園ホール)
東洋太平洋同級5位の比嘉大吾(20)=白井・具志堅スポーツ=が、同級王者のアーデン・ディアレ(27)=フィリピン=を4回2分39秒KOで下し、新王者となった。比嘉は10勝(10KO)無敗のパーフェクト・レコードも伸ばした。
圧倒的なスピードと攻撃力を見せつけた。立ち上がりからエンジン全開で襲いかかった比嘉は2回、左ボディーから左アッパー、右ストレートのコンビネーションで最初のダウンを奪った。KOしたと勘違いして、ニュートラル・コーナーに駆け上り雄たけびを上げた。「恥ずかしかったけど、逆に負けられないと気持ちを切り替えた」と、気落ちするどころかパワーに変えた。
タフな王者から3回にも左ボディーの連打でダウンを奪った。そして4回、やはり左ボディーから左フック、アッパーと連打で追い詰め、最後は強烈な左ボディーで仕留めて見せた。試合直後は涙をこぼした。「いつもそうなんですけど、試合前は怖くて怖くて…。不安で朝起きると髪の毛がごっそり抜けているんです」と、ファイトスタイルに似合わぬ繊細さも持ち合わせる。
比嘉は「練習したことが全部できた」と言う。「特に最初のダウンを奪ったコンビネーション。これまで最初の2つまでしかできなかったのが、最後の右も打てるようになった」と満足そうに振り返った。
自ら沖縄・宮古島に足を運びスカウトした具志堅用高会長は「僕は比嘉を教えたことは一回もないんですよ。われわれの時代と同じ闘い方をする。昭和30年、40年代のボクシングですね。お客さんが喜ぶスタイル。今が一番強い。年内、大みそかに世界挑戦させたい」と断言した。
WBO世界同級6位、IBF同7位のディアレを倒したことで、世界ランク入りは確実。「カンムリワシ2世」が本家と同じ21歳で世界奪取を狙う。