大森将平、再起2連勝で世界初挑戦見えた 3回KO、会長もGOサイン
「ボクシング・バンタム級10回戦」(24日、島津アリーナ京都)
元日本バンタム級王者・大森将平(23)=ウォズ=がWBC世界同級5位のエドガー・ヒメネス(24)=メキシコ=を3回2分6秒KOで破り、再起2連勝を果たした。年内の世界初挑戦へ向け、大きく前進した。戦績は大森が17勝(12KO)1敗、ヒメネスが22勝(16KO)12敗2分け。
世界5位の強豪を寄せ付けなかった。1回から多彩な右ジャブで攻撃し、距離を支配した。2回、強烈な左が相手の顔をとらえると、腰が落ちかけた。
距離を取り、長いラウンドを想定していたが、「相手が下がってるのが分かった」とチャンスを逃さなかった。3回、ロープに詰め、左で顔、ボディー、顔と3連発。相手の意識を飛ばすと、怒とうのラッシュでトドメ。ヒメネスは腰から崩れ落ち10カウントがコールされた。
「相手もすごくうまかった。それをKOで倒せて良かった。色んな人に支えてもらって感謝している。自分で言うのも何だけど、練習も頑張りました」とリング上で地元の声援に応えた。
名門・南京都高(現京都広学館)出身で同校OBのWBCバンタム級王者・山中慎介(帝拳)追う逸材。デビュー以来、先輩をほうふつとさせる豪打の左でKOを量産した。京都のジム初の世界王者へと一直線に駆け上がってきたが、昨年12月、暗転する。
WBO世界同級指名挑戦者決定戦で現世界王者のマーロン・タパレス(フィリピン)に2回TKOでまさかの惨敗。プロ初黒星を喫し、どん底に落ちた。
鼻っ柱を折られたことで、周囲の意見を素直に聞けるようになった。ガードを固め、距離を取り、右ジャブの練習と一からやり直し。大森昌治会長は「あの負けがあって徹底的に練習した。強くなった」と完全復活に目を細めた。
本人も言う。「あんな負けをしたことがなかった。だからこそ、負けるかもというプレッシャーを知った。負ける怖さを知ったことはプラスにしかなっていない」。たくましくなって帰って来た。
外れていた世界ランカーにもこれで復帰することが決定的。会長は年内の世界戦にGOサインだ。「年内に世界戦をやりたい。タパレスに成長した姿を見せたいし、ここまで成長させてくれた恩返しをしたい」と、王者タパレスへの挑戦を基本線にプランを描く。
一方、本人は消極的だ。「世界は甘くない。タパレスなら今日の相手は1回でKOしている。世界のトップレベルにはまだ達していない。僕はまだどろどろの修羅場を経験していない。そういうのを経験しないと」と話した。それでも、タパレスへの雪辱への思いは強い。「タパレスが王者になって嬉しい反面、悔しい。タパレスと再戦をやれるくらいになりたい。リベンジしたい」と力を込めた。