世界デビュー戦完敗の大沢「すべてが異次元」 レベルの差痛感も現役続行決意

ラスベガスから帰国し、試合で使用したグローブを見せる大沢宏晋
2枚

 ボクシングの聖地・米国ラスベガスで5日に世界初挑戦し、7回TKOで敗れたWBO世界フェザー級2位・大沢宏晋(31)=ロマンサジャパン=が8日、関西国際空港着の航空機で帰国した。「すべてが異次元。何もかも世界が違った」と夢の舞台を振り返った。

 挑んだ同級王者オスカル・バルデス(25)=メキシコ=は「うまかった」と言うのが率直な感想。特に巻き込むような左フックが背中からレバーにヒット。「ボディーは効いてないと思ってたけど、あれが効いていたのか。いつの間にか体が動かなかった」と、世界レベルを痛感した。

 「ジャブが当たっても、その次のパンチが当たらない。うまく軌道をずらしてくる。あれが世界トップ級の選手なんだと思った。しばらく王座防衛すると思います」と、素直に完敗を認めた。

 一方で「相手も目を腫らして、鼻が折れてたかもしれないと」と、自身のパンチでダメージを与えたことも実感。4回に左フックで大沢がダウンを喫したが、「あの後、王者はバックステップを踏むようになった」と一発強打を警戒されたのは確かだった。

 試合後の控室ではバルデスからも「今まで戦った中で一番、パンチが強かった。アメリカで待ってるから、もう1回勝ち上がって来い」と肩を抱かれ、たたえられたという。控室には中島利光トレーナーと3人だけしかおらず、「あれはほんまの本心。リップサービスじゃない」と同トレーナーは話した。

 試合後、リング下で見ていたスーパースターのフロイド・メイウェザー(米国)に呼び止められ「ベリーグッドマン。こんなハートのあるやつ見たことがない」と握手された。

 ガッツあふれるファイトは本場のファンの心もとらえ、試合後、会場には「オオサワ」コールが起こった。前にはドネア、後にはメーンのパッキャオ(ともにフィリピン)と世界屈指のカードに挟まれた試合だったが、ともに判定決着。

 田中雅晴会長は「大沢の試合が間違いなく一番盛り上がった。試合が終わった後にスタンディングオベーションは大沢の試合だけだった。日本人でもできるというのを大沢は見せた」と話した。

 試合後は大勢のファンに囲まれサインと握手攻め。ホテル内、街でも「オオサワ~」と声をかけられた。「言った通り1ラウンドからフルファイトで逃げなかった。大舞台で勝てはしなかったけど逃げなかった。向こうのファンの心はつかめたかな。ある意味それがアメリカンドリームじゃないかな。フェイスブックに知らない外国人からいっぱい(リアクションが)来ていた」。ベガスで世界王座奪取なら日本初だったが、大沢は快挙に匹敵する経験を得た。

 試合前は勝敗に関係なく引退覚悟だったが、現役続行を迷いなく決めた。「バルデスも『待ってる』って言ってくれたし、本場のファンが『次を楽しみ』って言ってくれた。こんな経験して、やらないわけにいかない。ある意味、ここがスタート。やるならアメリカに行って勝負。夢を追い求めたい」。31歳の目はラスベガスに行く前以上に輝いていた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス