山下正人会長、ポスト長谷川の育成に意欲「いい教科書になってくれた」
ボクシングのWBC世界スーパーバンタム級王者・長谷川穂積(35)=真正=が9日、神戸市内で会見し、現役引退を表明した。
引退会見を見守った真正ジムの山下正人会長(54)は「涙、涙でなくて良かった。現役王者でやめられる。こんなすばらしいことはない」と感慨深げに語った。「順風満帆ではなかった。ジムのない時には公園で練習したことも。それで強くなれたところもあるだろう」と振り返った。
師弟の道は波乱万丈だ。プロボクサーの経験がない元警察官の同会長は、長谷川が最初に所属した千里馬神戸ジムでトレーナーになり、最初の担当選手が長谷川だった。長谷川の独立とともに真正ジムを立ち上げ、二人三脚で歩んできた。
「今でも一番練習する」と王者を評する。「最後の試合のどつきあいで、自分たちが選手に教えることができないことを教えた。一番いい教科書になってくれた」と感謝した。
試合前には「負けたら自分も一緒にやめようかとも思った」という。「でも勝ってくれた。これからさみしいけど、また後継者をつくらないと」と“ポスト長谷川”の育成を目指す。