穂積が夫人と出会った土地で講演会「嫁は強い」

 9日に現役引退を表明したボクシングのWBC世界スーパーバンタム級王者・長谷川穂積(35)=真正=が10日、神戸市須磨区役所で「青少年育成フォーラム」講演会に参加し講師を務めた。

 同講演は夏には決まっており偶然にも引退翌日に。青少年ら集まった400人を前に前日の引退会見を“再現”することになった。

 「もう1度やるか、気持ちを作れるのか、葛藤があった。決断には2通りの道があり、選ばなかった方は悔いが必ず残る。自分が選んだ方を正解として信じていく。その道をつくっていけばいい」と心境を説明した。

 17年のボクサー人生で苦楽を共にした泰子夫人(37)との出会いは17歳の時、須磨区の須磨海岸。41試合の中で一番の思い出は「4年前に嫁と大げんかしたこと。対戦相手で心に残っているのは嫁だけ。強いんでね」と、笑わせた。

 小2から元プロボクサーの父・大二郎さん(61)の英才教育を受け、ボクシング漬けだった。朝、晩1・3キロのロードワークに正月もなく腕立て伏せ、腹筋、背筋を100回ずつ。「むちゃくちゃ父親が怖かった」と幼少期を振り返った。

 小5時には宿題を終えられず、ロードワーク10倍の13キロの罰走。水の代わりに大嫌いなリンゴ酢を飲まされた。「あのときは鬼と思った」と父の特訓が嫌いで仕方がなかった。しかし、今は「父が厳しかったから今の自分がある」と感謝しかない。10年に他界した最愛の母・裕美子さんはいつも優しく見守ってくれた。大腸がんとの闘病を間近で見て「母の姿が僕に励みになった」と話した。

 青少年には「この先、1人暮らしすることもある。母も父もいつか亡くなる。できるだけ多く会話をして、たまに電話するのも親孝行」と家族思いの長谷川らしい言葉を伝えた。

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