ダイナマイト関西が引退 膠原病、肺がんと闘い30年のプロレス人生に幕
「女子プロレス・OZアカデミー」(11日、後楽園ホール)
3月に今年限りでの引退を宣言していたダイナマイト関西(47)が最後の試合を行い、30年の現役生活に別れを告げた。
女子プロレス界のビッグネームの最後の雄姿を目に焼き付けようとプロレスの聖地には超満員札止め2100人のファンが集結。関西はジャパン女子プロレスの同期生でライバルの尾崎魔弓を最後の相手に指名した。
関西は得意のキック連打で攻め込むも、尾崎率いる正危軍の介入に悩まされて防戦一方。場外ではイスでめった打ちにされて左側頭部から流血し、チェーンで首を締め上げられるなど、引退試合とは思えない凄惨(せいさん)な戦いとなった。
一時は垂直落下式の岩石落とし10連発の猛反撃に出るも、驚異の粘りを見せる尾崎にカウント2・9で返される。続けて変型パワーボムの必殺スプラッシュマウンテンの態勢に入ると、尾崎にうまく丸め込まれ、さらに、またも正危軍の介入にあい、再び窮地に陥る。
だが終盤、関西は机をリング内に立てた尾崎を捕らえ、またも岩石落としを放って形勢逆転。そこから机上脳天くい打ち、変型パイルドライバーのグリーンフォール、ダイビングフットスタンプをたたみ掛け、最後はスプラッシュマウンテンをこの試合3度目で成功させて、32分55秒の戦い、そして、自身のプロレス人生に終止符を打った。
試合後には引退セレモニーが行われ、その存在の大きさをうかがわせるように、神取忍、アジャ・コングら各女子プロレス団体の選手、同期生のキューティー鈴木さん、ナンシー久美さんら女子プロレスOGに加え、俳優の谷原章介、お笑い芸人くわばたりえら、多くの人々から花束などを贈られた。そして、尾崎から“卒業証書”を読み上げられると思わず目頭を熱くし、自身も尾崎への手紙を読み上げると、2人は涙の抱擁を交わした。
最後のあいさつでは「30年間やってこられたのは仲間がいて、後輩がいて、先輩に恵まれて、何より、いろんな方に支えられて本当に幸せでした。この30年間、プロレスラーでよかった。いろんなことを経験できたし、最後、後楽園で引退できるということはうれしく思っています。今までダイナマイト関西と関わって、試合をしてくれたみなさん、応援してくれたファンのみなさん、心から感謝します。ありがとうございました」と、涙をこらえながら感謝。最後は晴れやかな表情を浮かべ、「私は胸を張ってこのリングを降りることができます。私はプロレス生活に悔いはありません。本当に燃え尽きるまで戦い抜きました。第二の人生もこうやって輝けるように、悔いのないように、生きていきたいと思っています。最後に、私を産んでくれたお母ちゃん、本当にありがとう!」と、清々しく締めくくると、聖地に10カウントゴングが鳴り響いた。
ジャパン女子、JWP、OZアカデミーを渡り歩き、173センチ、77キロの恵まれた体格から繰り出すパワフルなキック、豪快な投げ技などを武器に、女子プロレス界に一時代を築いた関西。だが、キャリアの中盤以降に膠原病を患い、11年には肺がんで肺の左半分を摘出するなど闘病が続き、「日によって波があるので毎日がきついわけでもない。でも、いいか悪いかといえば、よくはないので、今年いっぱいぐらいが限度なんじゃないかな。動けなくなってからだと相手にも失礼だし、お客さんにも試合を見せたくない気持ちが強かったので、これぐらいがちょうどよかった」と、30年の節目にリングに別れをつけることを決意した。
インタビューでは「終わってホッとした。とりあえず。今日は飲みたい!」と充実の笑顔。今後についてたずねられると、「しばらくゆっくりしてもいい?ゆっくりして、休養して体を治してから、少しずつ考えていることをクリアしていくというか、やっていければいいと思う。第2の人生でもスポットライトを浴びられるように関西は頑張ります!後輩が胸を張っていけるような道を作っていければ最高ですね」と力強く話し、最後はすっかり豪快なキャラクターに戻っていた。