ボクシング界のゆうこりんが左で返り討ち 5度目の防衛に成功
「ボクシング・WBC女子ミニフライ級タイトルマッチ10回戦」(18日、福岡市九電記念体育館)
王者の黒木優子(YuKO)が前王者の安藤麻里(フュチュール)を3-0の判定で破り、5度目の防衛に成功した。戦績は17勝(8KO)4敗1分け。2014年5月に王座を奪った相手から得意の左で2度のダウンを奪い、終盤には足を止めての殴り合いで地元福岡のファンを熱狂させた。
無傷だった女子ボクシング界のアイドルの顔が赤く腫れた。ジャッジの採点では安全圏にいたはずの9回。黒木が鬼の表情で打ち合った。乱戦の引き金は左あごへの強烈な衝撃。「(相手の)肘が当たったかも」と振り返る“一撃”だった。
最終10回も乱打戦。挑戦者の拳によろめくシーンもあったが、3-0の判定で完勝。「まだまだ青いチャンピオンです」。リスクを冒しての「タイマン勝負」は宣言したKO勝ちを狙った結果。判定が多い女子ボクシングを変えるためだった。
今年6月に、自身を王者に押し上げた足立トレーナーと2年7カ月ぶりにコンビを再結成。2回にダウンを奪った左のショートカウンターは、信頼するトレーナーと磨いてきた新兵器だった。5回には左ストレートで2度目のダウンを奪った。
リング外ではドレスなどの衣装やコメントで華やかに盛り上げ、試合は激しくKOを狙う。これが黒木のファイトスタイルだ。「お客さんが沸くシーンを何度もつくりたい」。王者はV5を達成した地元福岡での一戦でも信念を貫いた。
挑戦者の安藤とは、2014年に王座を奪って以来の再戦。足立トレーナーは「どこからでもパンチが打てるようになっていたし、何より気持ちが強かった」と相手の進化を認めたが、25歳の王者の進化は29歳の挑戦者を上回っていた。
試合後に元2階級王者の安藤は引退を表明。黒木は「偉大なチャンピオン」とたたえた。男子で世界3階級を制し、9日に現役引退を表明した長谷川穂積さんもテレビ解説のためにリング下で観戦した一戦。「一瞬でとどめを刺す長谷川さんのような的確なボクシングを目指したい」。ゆうこりんの次の目標は他団体とのタイトル統一戦だ。