全日本新人王決勝戦 最優秀選手はスーパーライト級の吉開右京
「ボクシング・全日本新人王決勝戦」(23日、後楽園ホール)
全12階級で行われ、最優秀選手(MVP)にはスーパーライト級の吉開(よしがい)右京(島袋)が選ばれた。技能賞にスーパーフライ級の福永亮次(宮田)、敢闘賞にはスーパーフェザー級の粟田祐之(KG大和)がそれぞれ獲得した。
吉開が圧巻の左フックでMVPを手に入れた。序盤から足を使い自分の距離で試合を運んだ。3回、連打で大野を前かがみにさせると狙い澄ました一撃を振り抜いた。大野はリング上に大の字。レフェリーはノーカウントで試合を止めた。
「感触はなかった。気がついたら倒れていた。攻めたらガードを固めるので、そこを狙った。当たった瞬間はうれしかった」と、試合後は顔色一つ変えなかった。
どこまでもクールだ。「冷静に行きました。慌てる姿を見せるとみっともないし、相手を強気にさせる」と19歳とは思えぬ勝負哲学の持ち主。沖縄・美里高時代はたった一人でボクシング同好会を立ち上げた頑張り屋でもある。「今からがスタートです」と、新たな星が輝いて見せた。
技能賞の福永は立ち上がりからジャブがさえ、試合のペースをつかんだ。
3回には左のカウンターでダウンを奪い、最終5回にはワンツーを決めレフェリーストップを呼び込んだ。これで9連続KO勝利。「(新人王は)2年越しの挑戦だったので気合が入っていた。これからもちゃんと倒せるように練習していきます」と、さらに上を目指していく。
敢闘賞を獲得したのは粟田だった。1回、左のカウンターに右フックを合わされてダウン。打ち合いに持ち込んだが「2ポイント取らないと勝てない」と覚悟した5回、左右の連打で南側場外に吹っ飛ばすダウンを奪った。それでもロープをつかみ這(は)い上がって来た相手に「来ないでほしかった」とおののきつつ、気迫を振り絞り2-0の判定勝ち。3度目の挑戦で新人王の夢をかなえた。
小、中、高とサッカーに夢中だった。今も週に一度は小学生にサッカーのコーチをしている。「きょうもサッカーの関係で応援がたくさん来てくれました。150人くらい。応援のおかげで僕の力以上のものが出ました」と感謝していた。