細川貴之が“相撲トレ”公開 奈良県の錣山部屋に泊まり込み

 ボクシングの前東洋太平洋スーパーウエルター級王者・細川貴之(32)=六島=が1日、奈良県の錣山部屋での“相撲トレ”を公開した。春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)へ向け稽古する同部屋に前日から入門。錣山親方(54)=元関脇寺尾=の部屋に住み寝食をともにし、1週間、力士になって心身を鍛え抜く。

 体験ではない。本気の弟子入りだ。前夜、親方から贈られた新品の黒まわしを締め込み、朝7時半から、入念に四股を繰り返した。部屋頭の十両青狼の側で砂袋を持ち、すり足。延々1時間は続け、苦悶(くもん)の顔を浮かべた。

 最後は若衆相手のぶつかり稽古を10回。体重70キロ程度の細川では相手はびくともしない。親方からは「足を使え。足で押すんだ!」と、猛ゲキが飛んだ。下半身をガクガクさせながら約3時間の稽古を何とか終えた。

 「きついです。下半身がもうパンパン」。普段はロードワークなどで鍛え、体力には自信のあるプロボクサーも、使う筋肉が違い、悲鳴を挙げた。

 もともとは細川がちゃんこ鍋屋でアルバイトをしていた縁で知り合い、親交を深めた。12年11月の九州場所の前にも部屋に泊まり込み合宿を行っており、今回が2度目だ。

 昨年11月に判定1-2で敗れ王座を陥落。その後、大みそかに世界IBFスーパーバンタム級王座を奪取した小国以載(角海老宝石)が相撲トレをしていたことを知った親方が、細川に「四股は何にでも通じるんだ」と諭し、今回の“住み込み合宿”へと誘った。

 「細川君が現役を辞める、辞めないという話を人づてに聞いたもんでね。全く別のスポーツをやるのは刺激になるし、気分転換になる。マイナスにはならないからね」。

 親方は前戦の細川の映像を見て下半身が使えていないことに気付いた。今回のテーマを「下半身。スポーツは8割型、下半身だからね」と四股、すり足を徹底して追い込む考えだ。39歳まで現役を続け通算勝利860は歴代9位、通算敗北938は歴代2位の記録を持つ。「俺からしたらまだ若造。32歳から力が出る。伸びしろはまだまだある」と、ハッパをかけた。

 細川も親方に何としても応えるつもり。4月9日、住吉区民センターでタイ人相手に再起戦に臨む。「KOで勝てなければ、その先はない」と進退をかける。突破すれば7月にも王座を明け渡した王者・大石豊(井岡弘樹)との再戦が組まれる予定だ。

 「相撲をすれば、自分にない部分をほんまに気付かされる。ボクシングを始めたばかりのころはKOを目指していたけど、いつの間にかそういう気持ちを忘れていた。次も大石もKOで倒す。それしか考えていない。親方は39歳で現役はすごいっす」。“寺尾魂”で心身とも成長し、リングに戻る。

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