東京五輪へ険しい道のりも…アマ高山勝成が始動

 ボクシングで日本人初の主要4団体制覇を成し遂げ、20年東京五輪出場を目指してプロを引退し、アマチュアに転向した高山勝成(33)=名古屋産業大=が26日、愛知県尾張旭市の同大で練習を公開し、「東京五輪への始動」とあらためて決意を示した。

 「自国で世界最高の舞台(五輪)に立って、国を代表して戦いたい気持ちが強い」と話す高山だが、実現への道のりは険しい。

 海外では国際ボクシング連盟(AIBA)が16年3月にプロの五輪出場を解禁。同年のリオデジャネイロ五輪にも、5月20日にWBA世界ミドル級王座決定戦で村田諒太(31)=帝拳=と拳を交えるアッサン・エンダム(33)=フランス=がカメルーン代表として出場(1回戦敗退)するなど4人が参加した。

 だが、国内ではアマの統括団体である日本ボクシング連盟(JABF)がプロ経験者のアマ転向を認めていない。同連盟の山根明会長も「プロは生活のために、アマは学校教育の一環としてやってきた歴史がある。その歴史がひっくり返ることはない。(高山の五輪出場は)1000%あり得ない」と明言している。

 前例なき挑戦であることは高山も理解している。「(五輪出場へ)名乗りを挙げて、すぐやれると思っていない。正直、ハードルはとても高い」と厳しい表情で話した。それでも「一人のアスリートとして五輪の舞台で戦いたい。今は出場できることを願うだけ。何年後かにゴーサインが出た時、体重、コンディションを完璧にしておく準備をするだけ」と前を向いた。

 過去には4団体制覇を目指し、当時日本で非公認団体だったIBF、WBO王座挑戦のため一度はJBCを脱退。海外を転戦しながら13年にIBF王座を獲得し、日本のIBF、WBO公認につなげたパイオニアでもある。

 今後は負傷癖のある左目上の手術を5月初旬にも受ける予定で、半年から1年間は実戦練習が不可能となる。試合出場の見通しすら立たず、東京五輪へ“長期戦”は必至だが、「五輪出場を信じて、3年間ベストを尽くすだけ」と高山に一切の迷いはない。

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