【長谷川穂積の拳心論】比嘉は次世代スター候補、強打だけでなく相手のうまさ封じた
「ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(20日、有明コロシアム)
WBC世界フライ級1位の比嘉大吾(21)=白井・具志堅スポーツ=は、体重超過で王座をはく奪されたファン・エルナンデス(メキシコ)に6回2分58秒でTKO勝ちし、13戦連続KOで新王者となった。
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【長谷川穂積の拳心論】
比嘉君のKO勝利に、次世代のスター候補を見た気がした。相手のエルナンデスは手数も多くアッパーもいいタイミングで打ってきた。しかも、比嘉君と同じく強打者。その王者から2、3発は受けたものの、まともにクリーンヒットをもらわなかった。
これは、相手へのプレッシャーのかけ方、ブロッキングのうまさがあるから。100%のKO率でパンチ力の強さに注目が集まるが、相手のよさを出させないことも大きな武器だ。
沖縄の青年らしい精かんな顔つきと、その戦いぶりからもハートの強さがわかる。相手が減量失敗で王座を失っていた中で、しっかり倒しきったのはすばらしいと思う。
全KO勝利で世界王者になったのは日本初だが、ファンにわかりやすいインパクトはボクシング界にとても大切だ。21歳とまだ若く、今後はあらゆる可能性が広がる。強い相手と戦いながら、ゴロフキン(カザフスタン=世界ミドル級統一王者で歴代最多タイ17連続KO防衛)のようにKO防衛記録を目指すのもいいし、防衛を重ねた後に上の階級を狙うのもいいだろう。(デイリースポーツ評論家、元世界3階級王者)