目標は日本初父子3人王者!内藤未来、体重120キロ超からライト級新人王目指す

 カシアス内藤会長(左)、律樹(右)とポーズを取る未来 
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 体重120キロ超から約半分落としたライト級で新人王を目指すボクサーがいる。しかも父は元日本、東洋太平洋王者、兄が元日本王者という良血だ。彼が日本王者となれば、日本初の父子3人チャンピオンとなる。「第三のカシアス」、内藤未来選手(24)と内藤ファミリーにスポットを当てた。

 「ミライザップですよ。だけどオレのはリバウンドしない」と未来は笑った。確かに。わずか3年前までは120キロを超える巨漢だった。その彼が今、約半分の61・2キロがリミットのライト級で新人王を目指している。「結果にコミットする」で有名なダイエット顔負けだ。

 家庭環境から、ボクシングとの出合いは早かった。「中学1年の時にジムがオープンしたんです。バンテージの巻き方も知らないのに横浜市民大会に出て、相手に遊ばれました。もともと本気でなかったのでやめました」と、あっという間に挫折した。中学時代はサッカー、それも太っているがゆえ?キーパーだった。

 だが、カシアスの血のなせる業か、未来は父と兄の後を追った。「兄の試合で会場に行くと、いつデビューするの?って声をかけられる。自分はやりたくないのに、周りに言われて、兄ちゃんが日本王者になった後、やりだしたんです。やればいいんでしょって、ふてくされた感じでした」と振り返る。

 1年間で体重を約50キロ落とした。「スパーリング大会に出るために減量したんです。80キロくらいで出た。ダイエットのためにかじった程度だったけど、ボクシングは兄ちゃんと同じやり方や違うやり方や、いろんなやり方がある。真剣にやってみてもいいかな」とスイッチが入った。「『やりゃいいんだろ』から『やりたい!』に変わった」と、プロテストに狙いを定め、一念発起してさらに体を絞り一発合格してみせた。

 父のカシアス内藤会長は「本来、やりたい気持ちはあったはず。ただ、父親と兄ちゃんがチャンピオンなのに、自分がなれなかったらと思うと拒否する気持ちも半分。無理にやれとは言わないし、やる気にならなきゃ無理だから」と言う。兄の律樹も「(ボクシングを)やるとはまったく思ってなかったけど、痩せてくれたことがうれしかった。まず、痩せてくれよと思っていたので」と笑う。

 父も兄も「ボクシングセンスはある」と声をそろえる。父は「子供の頃からジムでスパーリングなんかを見て目を養っている。遠回りしたんじゃなく、スタートが遅かっただけと思っている」と言う。

 2人を担当する関根虎洸(ここう)トレーナーは「未来は太っていたときから体力はあった。動けるデブだったんですよ。律樹のキャンプで走っても10キロくらいは付いてきたくらい。兄弟ともよく練習するね。天才肌のカシアスと違う部分も持っている」と、未来を一人前にしようと懸命だ。

 東日本新人王予選の準々決勝は7月25日、後楽園ホールで橘ジョージ(協栄)と対戦する。関根トレーナーは「今度の相手は手強い。ただ、ここでつまずいてはいられない」と、試金石と位置づける。

 デビュー以来3連勝中で、1戦ごとに成長ぶりを見せる。未来は「新人王は取ります。自分がチャンピオンになれば日本初の父子3人。父さんと兄ちゃんが道をつくってくれた。しかも、あいつデブだったんでしょ?って。それがいい」と笑った。

 120キロ超だった頃の自分を恥じてはいない。「たるんだ腹の皮を切る手術をしたらとよく言われるんですけど、絶対にしない。それも含めてオレだから。減量はキツイけど、120キロからボクシングができる体まで落としたつらさに比べれば…。それはオレしか分からない」と胸を張って、腹の皮を思い切り引っ張って見せた。

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