内山高志引退「思い残すことはない」 V11の名王者がボクサー人生に幕
元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(37)=ワタナベ=が29日、都内で現役引退を表明した。昨年12月31日に同級王者ジェスレル・コラレス(26)=パナマ=との再戦で王座奪回に失敗した後、進退が注目されていた。同王座を11度防衛した日本ボクシング史上に残る名王者は「思い残すことはない」とリングを降りた。
内山の表情は晴れ晴れとしていた。「引退することを決めました。ファンの皆さま、本当にありがとうございました。モチベーションの低下やケガも多くて、以前のように100%(自分を)追い込めないし、より強くなれるのか疑問だった。思い残すことはない」と静かに語った。
昨年の大みそかにV12戦でKO負けしたコラレスとの再戦で判定負け。不退転の決意で準備を重ねた試合に敗れたことが大きな岐路となった。「これだけやって負けたのだから…」と悔しさをにじませつつも、まだ現役続行は視野に入れていた。
WBAは、陣営にコラレスとの第3戦を用意する意向を示したが内山が拒否。その後、田口、京口が世界戦を行う7月23日の興行で当時WBO世界同級2位だったターサク・ゴーッキャットジム(タイ)との再起戦を計画していたがターサクがランク落ちして消滅した。
5月からはスパーリングなどのジムワークで現役続行の可否を探っていたが、思い描くパフォーマンスはできなかった。渡辺均会長には「疲れが取れなくなっているし、(手術した)左肘の痛みもある」と伝えていた。6月中には引退の決意を固めていたが、最終的には28日に渡辺会長に直接意思を伝えた。
世界王座在位6年4カ月は日本最長記録。世界戦10KO勝利も日本最多だ。「ノックアウト・ダイナマイト」と呼ばれる強打で、挑戦者をなぎ倒してきた。右拳や左肘などのケガを克服しながら戦い続けた日本を代表するチャンピオンが、惜しまれながらグローブをつるした。