山中進退保留 衝撃陥落から一夜、帝拳本田会長「やるならネリと再戦」
WBC世界バンタム級タイトルマッチでTKO負けし、王座から陥落した山中慎介(34)=帝拳=が一夜明けた16日、京都市内のホテルで会見し、進退について「少し考えたい」と保留した。指名挑戦者のルイス・ネリ(メキシコ)に4回TKO負けし、具志堅用高氏の持つ世界王座13連続防衛の日本タイ記録は逃したが、現役へのこだわりも残した。帝拳ジムの本田明彦会長は、現役続行の場合はネリとの再戦を確約した。
会見の席に現れた山中は、ダメージをまったく感じさせないきれいな顔だった。「自分としては効いている感覚はなかったけど、相手が連打してきて焦った部分はあった。周りをばたつかせてしまった。(タオルを投入した)大和トレーナーは常に近くで見てくれていたし、責めるつもりはない」。セコンドのタオル投入のタイミングが議論を呼んでいることに対して、デビューからコンビを組むパートナーを気遣った。
今回の防衛戦は「自分が納得する形で勝てればもういいかな、と思っていた」と、きれいな幕引きを描いてもいた。だが、想定外の決着が山中を悩ませている。
出し切っていない
ボクシングをやりきったとは思っていない。プロ初黒星を喫し、11年11月から保持した王座を失った。「周りから見てどうかは分かりませんが、まだ、いけると思っていた。パンチを合わせるタイミングもあった。出し切っていないので悔しい思いはある。それは確か。ネリに雪辱したい気持ちはある。ただ、ここ最近危なっかしい場面を見せてきた。そういうのも含めて考えたい」と複雑な胸中を口にした。
本田会長は「倒されていればすっきり辞められた」と、山中の未練に理解を示しつつ「やるなら再戦しかない」と断言した。「相手のプロモーターからも電話があった。再戦には応じるとのことだった。メキシコに行ってでもやる」と明かした。山中の決断が注目される。