【長谷川穂積の拳心論】拳四朗は“スポーツ”比嘉は“拳闘”連続KOは最大級の評価
「ボクシング・トリプル世界戦」(22日、両国国技館)
WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=は挑戦者のトマ・マソン(27)=フランス=に7回TKO勝ちし、初防衛に成功。WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(25)=BMB=は、同級1位の元世界王者ペドロ・ゲバラ(28)=メキシコ=に2-0で判定勝ちし、初防衛に成功した。
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【長谷川穂積の拳心論】
初防衛戦の重圧の中で、比嘉君の連続KOは最大級の評価に値するだろう。しかも最も倒しにくいタイプの相手だった。あれだけガードを固められるとあいているところを打つのが難しいが、同じパンチを4、5発打ったり相手のガードを払って打ったりと考えて攻撃していた。ガードをはたくのはロマチェンコ(世界最速2階級制覇王者)の技だが、比嘉君がいろいろと勉強しているのがよくわかった。
彼は一発で倒せるパンチがあるわけではない。しっかりと裏打ちされたコンビネーションで打つから倒せるのだ。沖縄の先輩、浜田さんの連続KO記録(15連続)もぜひ抜いてほしいと思う。時代は変わっていくものだ。
一方、劣勢から逆転勝ちした拳四朗君は、気持ちの強さがすばらしかった。メキシカンはためて打つためパンチが1テンポ遅れる。今まで戦ったことのないリズムの相手に前半は苦戦したが、最初の公開採点で負けていたため腹をくくったのだろう。あくまで僕の持論だが、顔がかわいい選手は気持ちが強いことが多い。拳四朗君がまさにそうだ。(元世界3階級制覇王者)