拳四朗が初防衛に成功 序盤の劣勢跳ね返し2-0の判定勝ち

 「ボクシング・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ」(22日、両国国技館)

 WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(25)=BMB=は、同級1位の元世界王者ペドロ・ゲバラ(28)=メキシコ=に2-0で判定勝ちし、初防衛に成功した。序盤はリズムをつかめずに苦しんだが、焦らず徐々にペースをつかんで見事に逆転勝利。ベビーフェースの肝っ玉王者が、まばゆい光を放った。

 王者の地力を証明した。逆転勝利で初防衛に成功した拳四朗は「終わったって感じ。ホッとしました」と、ピースサインや投げキスで大歓声に応えた。

 後半勝負の作戦が裏目に出て、4回の公開採点では3人全員が挑戦者優位とした。メキシコ人挑戦者との対戦にメキシコ人ジャッジが座る異様な状況。拳四朗は「焦りはなかった」と冷静に振り返ったが、父の寺地会長は「予想以上に判定が厳しかった」。想定外の劣勢に作戦変更を余儀なくされた。

 5回以降は接近戦に切り替えた。「新しい自分が見えた」と、童顔からは想像もつかない執拗な左右のボディー攻撃で挑戦者の腹を何度もえぐった。ボディーから顔面へのコンビネーションも冴え、10回には鮮やかなカウンターでダウン寸前まで追い込むなど、形勢は完全に逆転した。

 リングサイドで観戦し、アマチュア時代に対戦経験のあるIBF世界ミニマム級王者の京口紘人(ワタナベ)は「アマの時から接近戦は強かった」と証言。試合前には2人で話し込み旧交を温めた。

 メキシカン対策は万全だった。9月9日から17日まで米ロサンゼルスのメイウッド・ボクシングクラブで合宿を敢行。自身初の海外キャンプでは、16年リオデジャネイロ五輪ライトフライ級ベスト8のホセリト・ベラスケス(メキシコ)らと8ラウンドのスパーリングを5日間行った。

 豊富なスパーリングパートナーを求めて、9月下旬には拠点の京都から単身上京し、三迫ジムで調整を重ねた。都内のビジネスホテルに滞在。「クリスプ・サラダワークス」や「サラダストップ!」などのサラダ専門店を巡り、野菜中心の食事で自己管理を徹底してきた。

 指名挑戦者を退け、次戦は5月に王座から追い落としたガニガン・ロペス(メキシコ)との再戦が予定されている。「やはり攻めることが大事かな」。収穫を手にした王者は優しく笑った。

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