山中慎介 現役続行 WBCネリ再戦指令で決断「借りを返したい」
前WBC世界バンタム級王者・山中慎介(35)=帝拳=が1日、都内で現役続行を表明した。8月に山中を破り新王者となったルイス・ネリ(22)=メキシコ=がドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示した問題で、WBCはネリ側に意図的摂取の証拠がないとして王座保持を認め、即時再戦交渉を命じる裁定を下したと、10月31日付で発表。山中は「うれしい。借りを返したい」とリマッチを熱望した。帝拳ジムの本田明彦会長(70)は交渉に応じる構えで、早ければ来年初頭にも再戦が実現する。
WBCの再戦指令を聞いた山中の目に輝きが戻った。「本当にまた熱い気持ちになれる。再戦したいという思いはずっと持ってた。借りを返したい。もう一度、闘いたい」と現役続行を宣言した。
9月から本格的に練習を再開。「8月の試合は悔いが残った。もう一回やりたい、このままでは終われないという思いは日がたつにつれて大きくなった」と打ち明ける。
ネリは7月にメキシコで採取された検体が禁止薬物ジルパテロールに陽性反応を示したが、日本で採取された検体は陰性だった。WBCはネリに対し王座保持を認めたものの、食事などの詳細な報告を義務付け、検査を継続的に行うとした。
「一度やっていいところも悪いところも分かっている。13度目の防衛戦よりも変なプレッシャーもなく練習できる」と山中。後輩でWBA世界ミドル級王者・村田諒太(31)を担当する田中繊大トレーナーとの新タッグもスタートした。
本田会長は「モレノの2戦目(昨年9月のV11戦)で燃え尽きていた。苦しみながらボクシングをやっている感じだった」と振り返る。だが、敗れてから再開した練習では「やる気を感じた。改めてやるというなら協力しようということ」と、再起を許可した。
WBCの裁定と再戦指令を受け、本田会長は「交渉は始めるが簡単ではない。メキシコではやらないし、再戦がベストだけど法外なことを言われたら他の団体のチャンピオンもいる」と強気の姿勢。再戦の時期については「年明け1月か2月。遅くはならない」と見通した。「神の左」が挑戦者として再起のリングに上がる。