【カンムリワシの目】具志堅氏の期待膨らむ…作戦勝ちの尚弥、拳四朗はもっと強くなれる
「ボクシング・ダブル世界戦」(30日、横浜文化体育館)
WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(24)=大橋=は左の強打がさえわたり、ヨアン・ボワイヨ(フランス)に3回TKOで圧勝し、7度目の防衛に成功した。WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(25)=BMB=はヒルベルト・ペドロサ(パナマ)を4回TKOで退け、2度目の防衛。元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏(62)=デイリースポーツ評論家=は両選手の今後に期待を膨らませた。
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【カンムリワシの目】
井上選手は相手をしっかり研究した上での作戦勝ちだったね。本来の武器である右ストレートは背の高いボワイヨ(井上より6センチ長身)には効果的には打てない。だから左フック、左ボディーで戦う作戦をとった。相手によって戦い方を変えられるのは、ボクシングを知り尽くしているから。強いボクサーの証しだよ。
あの左の威力は、打つ角度のよさから生まれる。体がしっかりと鍛えられて体幹が強いから打てるんだ。バンタム級に上げても、パンチ力とスピードは十分通用するだろう。
バンタム級の選手になると普段の体重が60キロ前後と体がかなり大きくなり、パワーの違いは感じるだろう。でも、課題は階級を上げてみないとわからない。それより、複数階級だけでなく長期防衛、連続KOなど今後の期待は膨らむよ。
私の現役時代と同じライトフライ級の拳四朗選手は、ここまで2試合で随分自信をつけたのだろう。連打に余裕が見られた。実は以前、彼に「ワンツーの後の3、4が打てたら強くなれるよ」と話したことがあった。それがこの試合で出たのはよかったし、練習すればもっと強くなると思うよ。(元WBA世界ライトフライ級王者=デイリースポーツ評論家)