拳四朗「北斗百裂拳です」世界戦初KO 出た!あたたたたたたぁー

 「ボクシング・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ」(30日、横浜文化体育館)

 王者の拳四朗(25)=BMB=がヒルベルト・ペドロサ(パナマ)を4回TKOで退け、2度目の防衛に成功した。初回から的確にピンチを当ててペースをつかみ、4回は強烈な連打で勝負を決めた。人気漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウにあやかり拳四朗と命名された男が、鮮やかなKO劇で名を上げた。

 必殺の奥義がさく裂した。拳四朗は4回に強烈な右フックで挑戦者をぐらつかせると猛然とラッシュ。「あたたたたたた!」と聞こえてきそうな勢いで、5秒間に十数発の猛打を浴びせた。クリンチで逃れた相手を追撃し、左ボディーで最初のダウンを奪うと、最後はボディーの連打で世界戦初のKO勝利。自身の名前の由来となった漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウの必殺技になぞらえ、「あれ、実は北斗百裂拳です」とおどけた。

 「有名になりたい」と公言してはばからない王者にとって、初の地上波生中継でモチベーションは最高潮。インパクト十分の完勝劇に「最高っす。皆さん見てますか。拳四朗でーす」とちゃめっ気たっぷりに呼び掛け、場内から喝采を浴びた。

 盤石のV2防衛の陰に危機もあった。試合2週間前に39度近くまで発熱。17日の公開練習には前日に点滴を打って臨んでいた。さすがに「焦りました」と話し、インフルエンザの疑いもあったが「(インフルエンザと)分かるとメンタルがやられる」と、あえて検査は受けなかった。

 進化も証明した。デビュー当時から指導を受ける篠原茂清トレーナー(55)と月2回のトレーニングで股関節や肩甲骨周りの筋力を鍛えてきた。かつてプロ野球阪神の亀山らも指導した篠原氏によると「筋肉を肥大化させずに筋力を上げる」ことを重視し肉体改造に取り組んだといい、3戦ぶりのKO勝利でその成果を示した。

 囲み取材中には突然自身のスマートフォンを取り出し、インスタグラムとツイッターのフォロワー数をチェック。試合直後とあって300人程度しか増えておらず「えー、そこまで増えてない」と肩を落としたが、防衛を重ねれば嫌でも知名度は上がるはず。次戦は5月に王座から追い落としたガニガン・ロペス(メキシコ)との再戦を控える。東洋太平洋王者だった父の寺地会長とともに一子相伝?の“暗殺拳”でその名を上げていく。

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