井上尚弥V7!エグってKO 強すぎ…無傷でも目が腫れた!?次は3階級制覇だ
「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(30日、横浜文化体育館)
王者の井上尚弥(24)=大橋=は左の強打がさえわたり、ヨアン・ボワイヨ(フランス)に3回TKOで圧勝し、7度目の防衛に成功した。試合後、来年はバンタム級に階級を上げる意思を改めて表明。ボクシングの本場・米国でも高い注目を集める「怪物」が、2018年は日本人5人目の3階級制覇を狙う。
この日奪った4度目のダウンがフィニッシュブローだった。3回、えぐいほどの左ボディーを右脇腹に食い込ませた。レフェリーがすぐさま割って入り、試合を止める。圧巻のKO劇。スーパーフライ級最後の試合で、井上尚が段違いの強さを見せつけた。
立ち上がりは距離感を測り、慎重だった。だが1分過ぎ、この試合最初に放った左フックでロープまではじくと、一気に攻勢に出た。「距離をつかむのに1ラウンドもいらなかった」と終了間際の左フックで最初のダウンを奪う。3回は左ボディーで2度ダウンさせ、腰が引けて逃げ回るボワイヨを容赦なく追い詰めて、最後も強烈な一撃でV7を決めた。
それでも井上尚に笑顔はなかった。「相手が決まらない中、挑戦してくれたのはありがたいけど、全然物足りない。もっとヒリヒリした試合がしたい」と口にし、「バンタム級でそういう試合があるのかな」と改めて転級を宣言。新たな戦いの舞台を見据えた。
「WBOには(ゾラニ)テテがいるし、WBCでは山中(慎介)さんと(ルイス)ネリの再戦も決まった。そういう中に飛び込んでいくのは楽しみ」と言う。「チャンスがあれば挑戦したいし、その後には統一戦もある。4団体まとめちゃえみたいな感じですね」と野望は大きい。
スーパーフライ級での3年間は統一戦を頂点に、強敵を求め続けたがかなわなかった。悔しさの一方で「キャリアを積めたし、アメリカにも行けた。その経験は今後に生かしたい」と総括した。今年9月、米国でのデビュー戦は強烈な勝ちっぷりで「イノウエ」の名を知らしめた。「10月にニューヨークタイムスがわざわざ取材に来た。すごいことだと思う」と大橋秀行会長。確かな歩みで着実に存在感を高めてきた。
試合後、一発ももらっていないはずの右目上が赤くなっていた。「ものもらいです。朝起きたら腫れていて眼科に行きました」と苦笑い。そんな状況でも動じることなく、あっさり倒し切るところがこの男らしい。まだまだ道半ば。バンタム級という新たなステージで、井上尚はどんな「怪物」ぶりを見せてくれるだろうか。