【長谷川穂積の拳心論】強さに飢えた王者・比嘉 ハングリーさが強み

 「デイリー後援・ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(4日、沖縄県立武道館)

 王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=が、2度目の防衛戦で同級9位のモイセス・フエンテス(メキシコ)を1回2分32秒、KOで下し、15試合連続KO勝利の日本記録に並んだ。これまで浜田剛史、牛若丸あきべぇ(現渡部あきのり)が記録していた。デビューからの連続KO勝利は日本新記録。地元の沖縄での世界戦開催は1981年に具志堅用高が敗れて以来4度目。師匠の無念も晴らし、初の日本選手勝利となった。

  ◇  ◇

 【長谷川穂積の拳心論】

 記録がかかった故郷沖縄での試合。比嘉選手は序盤少し硬かったが、カウンターが一発当たってリラックスしたようだ。ボディーを打つと見せかけフェイントを入れたり左ボディーを打つと見せかけ右をかぶせたり、練習してきた詰め方が試合でできていたと思う。

 15連続KOを果たした実力は言うまでもないが、彼の一番の強みはハングリーさだろう。ハングリーと言ってもお金や地位じゃなく、強さに飢えたハングリー。だからスポーツというより、拳闘という言葉が似合う。

 今回、僕はプライベートで沖縄入りした。それは彼の試合を生で見たいと思ったからだ。自分でも言っていたように比嘉選手は何かを持っている。ひと昔前のボクサーのような風貌でリングに上がる姿は「かっこいいな」と僕も思うほど。だから彼の試合は万人が楽しめるし、1回から目が離せない。

 僕が世界王者だった時代、彼の記録なら間違いなく大スターだった。ただ、世界王者が数多い今は注目が分散してしまう。それでも、今のままのボクシングを続けていけば真のスターになれると期待している。

 次戦は新記録がかかるからこそ、強敵を選んで倒してほしい。高い山を越えるその瞬間をぜひ見てみたい。(元世界3階級制覇王者)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス