「ボクシング・ＷＢＣ世界バンタム級タイトルマッチ」（１日、両国国技館）

　同級１位の挑戦者・山中慎介（３５）＝帝拳＝が４度のダウンを奪われ、２回１分３秒ＴＫＯで前王者のルイス・ネリ（２３）＝メキシコ＝に敗れた。１９８日ぶりに迎えた因縁の再戦で雪辱を果たすことはできなかった。山中は試合後の控室で現役引退を表明した。

　ネリは前日の公式計量で１回目に１階級上のスーパーバンタム級の上限も超える２・３キロを超過し、再計量でも１・３キロオーバーして王座を剥奪された。ボクシング人生すべてをこの雪辱戦に懸けてきた山中がネリに向かって「ふざけるな」とつぶやくほどの、ボクシングを冒涜する行為だったが、限界まで減量をしていないだけにリングでは強かった。

　王座は剥奪されたが、試合に圧勝し、控室で陣営と雄たけびをあげて喜んだ。「この試合に向けてタフなトレーニングをしてきた成果。山中選手がガンガンくると思っていたが、恐怖が見てとれた。前回ＫＯしたことが、彼の中でよみがえったのではないか。だから容赦なくパンチを打ち続けた」と満足げに振り返った。

　「山中選手に申し訳ない気持ちはある」と話すものの、「無敗を守れたことはうれしい。王者ではなくなり残念だが、再び王者に戻ることができると思っている」と心底反省している様子はうかがえなかった。