最後のムーンサルトで勝利「武藤敬司に悔いなし」人工関節手術で“永久封印”

 「プロレス・WRESTLE-1」(14日、後楽園ホール)

 武藤敬司(55)が人生最後のムーンサルトプレスを決めて、勝利した。今月末に長年悩まされてきた両ヒザの人工関節置換手術を受けて年内は欠場し、復帰後はムーンサルトプレスは使えなくなる。

 天才が必殺技に別れを告げた。自身の“化身”グレート・ムタの試合は予定されているものの、武藤敬司としてはこれが手術前最後の試合。団体の枠を越えて教え子を集めた8人タッグ戦で、武藤は浜亮太、SUSHI、宮本和志と組み、河野真幸、大和ヒロシ、中之上靖文、KAI組を迎え撃った。

 過去に使った入場曲がメドレーで流され、大“武藤コール”が響く中でリングに上がると、両膝を軽くたたいて状態を確かめた武藤。まずは、フラッシングエルボー、低空ドロップキックなどの得意技を繰り出して会場を沸かせる。

 そしてKAIに閃光魔術を放ち、ムーンサルトプレスを放とうとコーナーに登るが、イスを投げつけられて落下してしまう。だが、再びチャンス到来。今度は河野を捕らえてムーンサルトプレスを敢行するが、今度は河野が寸前でかわし、ファンにため息をつかせた。

 それでも、教え子のアシストで3度目のチャンスをつかむ。河野をを捕らえ、浜が200キロ超の巨体を浴びせてダメージを与えると、武藤が前、後、前と閃光魔術を3発発射。そてし、「ガムシャラだった」という思いでコーナー立ち、ついにムーンサルトを成功させて3カウントを奪うと、場内は熱狂の渦に包まれた。

 リングでマイクを持った武藤は教え子に感謝し、「しばらくプロレスを休みますが、必ずこのリングに戻ってきますので、新生武藤敬司で帰ってくるから、みなさん待っててください」と復活を約束した。

 インタビューでは「なかなか苦しい戦いで、体が思うように動かなくて、助けてもらいながら、辛うじてムーンサルトで締めることができたけど、昔と比べたら跳躍力もないし、不格好かもしれないけど、気持ちのこもったムーンサルトだったと思います。武藤敬司に悔いなし」と充実の表情で振り返った。。

 ヒザに大きな負担がかかるムーンサルトプレスを必殺技とした武藤の両ヒザはボロボロ。30年前に右ヒザを痛めたのが始まりで、今では長距離の歩行は困難となり、車イスに頼るほどだ。

 これまでも武藤は人工関節置換手術を検討したが、相談した医師たちからプロレスはできなくなると言われてきた。悩み続けていたが、昨年末にNBAやスキーの選手を手術した実績のある医師と出会い、「人工関節を入れた後もプロレスができる」と言われたことでを手術を決心。だが、ムーンサルトはできないという条件だった。

 「これをなくしてオレははい上がれなかった。大きい体でやってるから、運動能力があるんじゃないかと思われて、海外に出されたりとか。海外でもこの技でトップまではい上がることができた。今までの武藤敬司はムーンサルトありき」と話す、33年間使い続けたムーンサルトへの思い。年内は欠場。復帰は来年以降となる。「もしかしたら、水戸黄門の格さんを失ったような気分かもしれないけど、あとは何とかなっても、今までの経験から新しいことを生み出して頑張ります」と、復帰後のスタイルを思い描いた。

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