【長谷川穂積の拳心論】山中は相手が強くなると生きるボクシング 僕の中で王者は小西
「ボクシング・ダブル世界戦」(18日、神戸ポートピアホテル)
WBO世界ミニマム級王者・山中竜也(22)=真正=が同級4位モイセス・カジェロス(メキシコ)に8回終了TKO勝ちし、初防衛に成功した。左右の鋭いコンビネーションで打ち合いを制した。初の世界戦に挑んだWBA世界ライトフライ級2位の小西伶弥(24)=真正=は同級1位カルロス・カニサレス(ベネズエラ)に0-3の判定で敗れた。
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初防衛に成功した山中は、重圧がある中で自信に満ちあふれた試合をした。足も上体も頭も動く。体全体を使ってリズムをとってフェイントをかける。見た目より、かなりやりにくいのが山中のボクシングだ。相手はラウンドごとにパンチをもらう確率が増え、展開がよくなることはないと判断して棄権したのだろう。
彼の持つ高い技術力は世界ランクレベルの選手でないと伝わらない。つまり、相手が強くなればなるほど生きるボクシングだ。苦戦するのは自分よりスピードがある選手。そこでどう対応するかに注目しているが、今後はKO防衛を続けることも期待している。
判定負けした小西は、僕は勝ったと思っている。しかし、WBAは足を使えば有利になる独自の採点。後輩の久保隼がTKO勝ちした王座戦でも採点は1-2で負けていたし、村田諒太選手の最初のエンダム戦も同様だ。どうやって勝つのかは永遠のテーマ。小西はまったく落ち込むことはない。結果はついてこなかったが、僕の中で王者は小西だと伝えたい。