【記者の目】フライ級に合わない体格の限界
「ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(15日、横浜アリーナ)
前日計量が14日、都内で行われ、WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=は1回目でリミットの50・8キロを超える51・7キロで、再計量はせず、3度目の防衛戦を前に、体重超過で王座剥奪となった。日本ボクシングコミッション(JBC)によると、日本選手の世界戦での計量失敗は初。挑戦者のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)は50・5キロで1回でパスした。
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ルイス・ネリの体重超過騒動から約1月半。その影響からJBCが罰則を制定している中での失態に、安河内剛事務局長が「非常に遺憾」と話すなど、関係者を大いに落胆させた。
いささか結果論になるが、今回はマッチメークに無理があったと言える。現在の世界戦では異例の前戦から2カ月での試合。さらに、毎試合減量苦に陥って転級が浮上するなど、比嘉の体格がフライ級に合わないのは周囲の知るところ。それが今回、限界に達したことが最悪の形で証明された。
同情したくもなるが、プロならば試合が決まれば条件に合わせるのは当然のこと。近年は国内で体重超過が頻発し、安河内事務局長は「ペナルティーを科して阻止するのが効果的なのかな、というところまでわれわれも追い込まれている」と危惧する。無期限資格停止となったネリほど悪質ではないにせよ、比嘉にも厳罰が科されても仕方ないだろう。
比嘉陣営は今回の件を糧に戦略を見直し、再起後は二度と繰り返さないでほしい。(デイリースポーツボクシング担当・洪 経人)