村田諒太 TKOで日本人選手初のミドル級防衛 冬に東京Dで「ゴロフキン目指す」
「ボクシング・WBA世界ミドル級タイトルマッチ」(15日、横浜アリーナ)
2012年ロンドン五輪金メダリストのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が同級6位エマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)を8回2分56秒TKOで下し、初防衛に成功した。同級での日本選手の世界王座防衛は初めて。村田は試合後、WBA・WBC・IBF世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(36)=カザフスタン=との対戦を改めて熱望した。
挑戦よりも難しい初防衛戦を突破した。足を使う挑戦者の手数を堅いカードではね返し、プレッシャーをかけ続けた村田。中盤から重い右ストレート、ボディーなどで攻勢に出る。そして迎えた8回の終盤、連打から豪快な右の打ち下ろしを顔面にヒットすると、ブランダムラはついにダウン。直後にレフェリーが試合を止めた。危なげなく成し遂げた日本人初の世界ミドル級王座防衛。村田は「ラッキーでした」と苦笑しつつも、「及第点です」と自己採点した。
パワフルな戦いだけでなく、頭脳と精神面も村田の土台となっている。帝拳ジムの浜田剛史代表(57)は「普通の選手は一生懸命で横が見えないところがあるが、村田は自分で自分を分析する。評論家がボクシングをしている感じ」と評する。
初防衛戦へ向け村田はその難しさを「王者としての姿を見せたいという気持ちがはやりすぎるのがその正体」と分析。「ミドル級のレベルで圧倒しようと思って圧倒できる能力がボクにはない。実力の現実を見ながら冷静にやる方が勝利につながる」と冷静さの重要性を強調し、その思いで臨んだ。
この試合中にも、右を打つときに体が開いていることに気づき、5回から修正して連打がヒットするようになった。「無意識に、いい形で勝ちたいという焦りがあったかも」と振り返った。初防衛戦を突破できた理由を「やらないといけないから」と返答。「他に輝けるところがあればそっちに行くかもしれないが、今はボクシングがベスト」と、今いる場所で全力を尽くす。
次の舞台は海外。村田と契約する大プロモーターのボム・アラム氏(86)は、今冬にも東京ドームで、村田と3団体統一世界王者ゴロフキンを対戦させるよう、帝拳ジムの本田明彦会長に申し入れたことを明らかにした。「勝つと思わなければ、自分がプロモートするファイターを闘わせない」と力を込めた。
V2戦は秋に米ラスベガスで開催し、ペイ・パー・ビューで現地のプライムかゴールデンタイムで生放送し、実績を作ってゴロフキン戦につなげたい考えを示したアラム氏。村田も「ゴロフキンを目指してやりたい」と宣言。日本人が今まで歩んだことのない道を、歩んでいく。