尾川堅一、ドーピングで資格停止6カ月 世界王座奪取も無効へ
ボクシングの帝拳ジムが19日、都内の同ジムで会見を開き、尾川は17年12月に米ネバダ州ラスベガスで行われたIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦で勝利した所属選手の尾川堅一(30)がドーピング検査で陽性反応を示したことで同州アスレチックコミッションから資格停止6カ月、ファイトマネー20%減額の処分を受け、試合は無効になったことを発表した。日本人ボクサーがドーピングで処分を受けるのは初めて。
同ジムの説明によると、陽性反応を示したのは筋肉増強作用があるテストステロン。摂取した食物、薬などのリストを提出し、原因はアトピー性皮膚炎の塗り薬が有力と考えていたものの、リスト中のいずれにもテストステロンは含まれていないとの結果が出たという。
通常ならば資格停止12カ月、ファイトマネー減額も30%だが、全面的に協力したこと、試合4日前の検査では陽性を示したものの当日の検査では陰性だったことなどを考慮されて、処分が軽減された。IBFの判断を待っている状態だが、試合が無効になったことで、同ジムの浜田剛史代表は「王者になったことはカウントされないんじゃないか」との考えを示した。出場停止は試合が行われた日から起算される。
会見に出席した尾川は「自分の自覚のなさで、ボクシングファンの方々、関係者のみなさまに多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。裁定の結果は受け止めて、今後はこのようななことがないよう細心の注意を払っていきたいと思います。食事は普段通りで、薬の知識がなかったのが一番の反省点。普段通りにしていたら出るはずはないと思い込んでいたので、自分の甘さが今回のようなことになってしまったと思います」と謝罪。「許してもらえるなら、もう一度リングに立ちたい気持ちはあります」と現役続行の意志を示した。同ジムは再発防止へ所属の全プロ選手、トレーナーに摂取した食物をリストにして提出させる方針だ。
また、この決定を受けてJBCも「処分はやらざるを得ない」との考えを示した。報告を受けた上で早急に倫理委員会を開いて対応を協議するという。