スターダム・紫雷イオ退団、WWE入りへ「よりたくさんの人に見てもらいたい」
女子プロレス団体のスターダムは29日、都内で会見を開き、所属選手の紫雷イオ(28)が退団することを発表した。イオは今後について具体的なことは明かさなかったものの、米国の世界最大手プロレス団体WWE入りが濃厚とみられる。6月17日の東京・後楽園ホール大会のイオ、岩谷麻優組-花月、葉月組戦がスターダムでの最後の試合となる。
イオは会見の冒頭で「今後のプロレス生活のさらなる飛躍を目指して、スターダムを退団させていただくことになりました」とあいさつ。昨年にスターダムから宝城カイリがWWEへ移籍した時期からイオのWWE入りもうわさされ、スターダムのロッシー小川社長は「1年半ぐらい前からそういう話はあることは本人から聞いて、状況を逐一報告してもらっていた。発表は突然だが、その時が来たんだな、と言うのが実感。5年間にわたって第一線でやってもらったので、この経験以上のことを、もっと大きな舞台で成し遂げて欲しい」と冷静に話した。
イオは退団を決断した時期を「この瞬間、というのは(頭に)出てこない」と話しながらも、「うわさというか予兆というか、そういうものがあった中で、今行ってしまうと、自分が愛してきたスターダムを見届けられていないんじゃないかと迷いながら、自分はスターダムの人間という意識があって。ここ1年ぐらい、若手の底上げといった役割に自分がシフトしていった気がして、私が引っ張った若手も独り立ちしてきたように見えたので、自分の目標を追っかけてもいいのかな、という気持ちが少しずつ大きくなっていきました」と説明した。
今後の目標を問われると、「自分のプロレスをよりたくさんの人に見てもらいたい。ありがたいことなんですけど、紫雷イオが世界一なんじゃないかとか言ってもらえたりして、やってきたことは間違いじゃなかった」とコメント。「丸11年プロレスやってきて、そんなに現役の時間も長くないんだろうなと思った。スターダムとともにその夢がかなえられれば良かったんですけど、5年、10年かかるなという計算が出て、それなら一緒にはかなえられない。なので別の道でたくさんの人に見てもらえる場所に行きたいと思いました」と、悩み抜いた決断であることを明かした。
2年連続で有力選手が去ることを、小川社長は「人が入れ替わるのは女子プロレスの宿命ですから」と受け入れた。「選手的には、精神的な支柱を失うわけですから。ウチでリーダーシップを取れる選手はほぼいないので、どうなのかな」と若干の不安をもらしたが、「次々と新人をデビューさせていくことが、我々の任務、喜びなので、次にスターダムはどんな選手を出していくかに期待してほしい」と前を向いた。