棚橋、復活V 飯伏と激闘35分!最後はハイフライフロー3連発
「プロレス・新日本」(12日、日本武道館)
新日本プロレスの真夏の祭典、「G1クライマックス」の優勝決定戦が行われ、Aブロック1位の棚橋弘至(41)がBブロック1位の飯伏幸太(36)を35分の激闘の末に破り、3年ぶり3度目の優勝を果たした。近年は負傷欠場を繰り返す苦しい日々を過ごしていた“100年に1人の逸材”。再び真夏の頂点に立ち「逸材、完全復活見ていてください!!」と、超満員札止めの1万2112人のファンに向かって宣言した。
弱音を吐かない“エース”の笑顔と涙の復活劇だ。自身を「神」とあがめる飯伏との死闘を制し、来年1月4日の東京ドーム大会メインイベントでIWGPヘビー級王座に挑戦できる権利書を手にした棚橋は「G1生き残りました。すなわち、新日本プロレスで生き残ったということ」とリング上で絶叫。久々に勝利のパフォーマンスであるエアギターを武道館にとどろかせた。
気迫で上回った戦いだった。驚異的な身体能力を誇る飯伏の雪崩式フランケンシュタイナーなどの華麗で過激な技に苦しめられながらも、ダルマ式原爆固めなどで反撃した。容赦ないフルスイングの張り手の連打には鬼の形相で前進し、逆にコーナー押し込んだ。終盤のやり投げ、ラストライドなどをたたみ掛けられる大ピンチも驚異的な粘りで返し、最後はハイフライフロー3連発で葬った。
優勝記者会見ではいったん「苦しんだ分」と言い「苦しんでない」と言い換えた。「楽しんで喜んでやってきたけど、結果が出なかった分、倍うれしい」と話した。「考えに考えたG1だった。今の自分に何ができるか」と、現状を受け入れたことを復活の要因に挙げ、「IWGPのチャンピオンにもう一回なります」と力強く宣言した。
前回優勝からの3年は右膝などの故障に悩まされる日々。何度か復活の兆しも見せたが、史上最多の7度獲得したIWGPヘビー級王座は手にできず、欠場も繰り返した。試合に出続けるエースの責務を果たせなかったことを「歯がゆいですよ」と話しながらも、「全員の前で元気な姿を見せたいんですよ。だから、これからも鍛錬を続けるし、日本全国のリングに立ち続けます」と誓った。
気丈な振る舞いを貫いていたが、テレビ企画の子どもインタビューでは、こらえていた涙がボロボロ。「何回ももうダメかなと思ったけど、たくさんの人が応援してくれたから、最後まで頑張れた」と声を振り絞った。苦難を乗り越えたエースの再進撃が始まる。