井上拓真が“最強の相手”ヤップ破りWBC挑戦権獲得!尚弥と兄弟4団体統一だ
「ボクシング・WBC世界バンタム級指名挑戦者決定戦」(11日、後楽園ホール)
WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25)=大橋=の弟でWBC世界バンタム級10位の井上拓真(22)=大橋=が同級3位のマーク・ジョン・ヤップ(29)=六島=を3-0の判定で破り、同級王座の指名挑戦権を獲得した。
拓真はヤップの遠めから繰り出す長いパンチに手を焼きながらも、鋭く短い左を合わせて応戦。5回には左フックでダウンを奪うなど優位に試合を進め、12回には激しく打ち合う場面もあったが、最大7点差の大差をつけて押し切った。
試合後、リング上で「キャリア一番の強敵だったので不安でしたけど、勝てて良かったです」と喜びをかみしめた拓真。「やっと世界の切符を手に入れたので、兄と同じバンタム級で兄弟世界チャンピオン、小さい頃からの夢だったので必ずかなえたいと思います」とファンに誓った。
控室では「ヤップ選手は出て来ると思って、それに対応しようという気持ちで待ち構えていたのに案外出てこなくて、思った以上に楽にできました」と試合を振り返った。「あとは経験と、いかに課題を克服するか。まだ不用意なパンチをもらうので、ディフェンス力と集中力」と、世界を獲るために必要なことを口にした。
拓真は16年12月に世界王座挑戦が決まっていたが、右拳の負傷によりキャンセル。だが、その悔しい過去も「ベテラン選手ともいろいろ経験でしたので逆に良かったと思う」と前向きに受け止めている。
弟の戦いをリングサイドで見守った兄の尚弥は「勝ちに徹するボクシングはしていましたけど、もっと自分で倒していくシーンを作れたと思う」と厳しめの評価をしながらも、「勝ったので、おめでとうといいます」と祝福。自身は来月に優勝すれば3団体統一世界王者となるトーナメントのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)の1回戦を控えており、「いいんじゃないですか。井上家で(世界王座)4つ。優勝して、拓真が1つ勝てば。あと4勝です」と、日本初の兄弟での主要4団体統一に意欲を示した。父の真吾トレーナーも「すごいことだと思いますよ。ここまできたら、それありきで練習あるのみですね」と期待した。
所属ジムの大橋秀行会長によると、来月に予定されている同級王座決定戦の勝者が指名試合を行うことが決まっており、拓真の挑戦はその次、早くても来年になるという。