元世界王者・山中竜也、涙のテンカウント 硬膜下血腫で引退

 引退のテンカウントゴングを聞く山中竜也
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 ボクシングの前WBO世界ミニマム級王者の山中竜也(23)=真正=が13日、神戸サンボーホールで行われた所属ジムの興行で、引退セレモニーを行った。7月のビック・サルダール(フィリピン)との2度目の防衛戦で判定負けした後に「急性硬膜下血腫」と診断され、9月に引退を発表した。日本ボクシングコミッションの規定では頭蓋内出血と診断された場合、ライセンスが自動的に失効となる。

 笑顔がトレードマークの前王者だが、セレモニーのリングに上がるとこみ上げるものが抑えられずに号泣。あいさつでは、尊敬するジムの先輩で元3階級制覇王者、長谷川穂積氏の名を挙げ「長谷川さんの言葉を借りるなら、これからの人生も、あの頃はよかったではなく、あの頃“も”よかったと思える人生にしていきたいと思います」と前向きに誓った。神妙な表情でテンカウントのゴングを聞いた後は、いつもの笑顔でリングを降りた。

 無念の引退となったが、気持ちの整理は「自然と時間が解決してくれた」と言う。6人きょうだいの長男は、女手一つで育ててくれた母理恵さんときょうだいが見守る中で「これからも家族に恩返ししたい」と話した。

 今後については「いろんな世界を見てから(ボクシング界に)戻れたら。今は自分もやりたくなる」と言う。所属ジムの山下正人会長からトレーナーの誘いがあったが「恩返しになるならとも思ったけど、その子(選手)の人生を背負う器量がない。ジムメートの応援には行きます」と中学卒業後、進学せずに打ち込んできたボクシング界から一度距離を置き、年内に就職する予定だ。

 一方で、今も毎日10キロのロードワークと公園での懸垂、シャドーボクシングなどは欠かさず行っているという。それでも「一時は67キロまで行き、(ミニマム級より)20キロも増えた」と苦笑い。グローブをつるした後は、「結婚もしたい。現役の時より彼女がほしいと思うようになりました」と明るい未来を描いていた。通算成績は19戦16勝(5KO)3敗。

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